久々の投稿となってしまいましたが、
今回は『桐蔭学園ラグビー部 勝利のミーティング』を読んで、
スポーツミーティングで重要なことを整理したいと思います。
まず、著書の対象は桐蔭学園ラグビー部は全国屈指の強豪校で、
昨年度の全国校ラグビー通称「花園」で優勝したチームです。
そこに至るにあたって、スポーツ心理学者の布施勉氏の介入が紹介されており、
特に「想いを見える化するミーティング法」が印象的な内容でした。
スポーツミーティングはICT技術の発展に伴い、映像が用いられるものが増加しました。
ここでは、過去の練習映像や試合映像を基に、何が良かったのか、悪かったのかを明確にしていき、
プレーや戦術を改善していくことを目的にします。
最新の科学によれば、このような映像を用いたミーティングは先の目的に加えて、
集団の自信とされる「集合的効力感」を向上させる点において有効であるともされています。
(これは代理体験と呼ばれる効果で、例えばA選手の良いプレーイメージを見せた際に、A選手のイメージ強化につながることに加え、A選手以外も自分がそのプレーを行なったような脳の成功体験を得ることができるというものです)
しかしながら、そのようなミーティングは一般的に表象化されたもの、言わば外的なものが中心になりがちです。
そのため、その時の選手の心理状況・考え方・想い等の内的なものを取り扱うことが少なくなります。
そのような中、想いを見える化するために、2つの点が紹介されていました。
①徹底的に裏の話を掘り下げる
指導者が選手に対して、オープンクエスチョン「何で」「どうして」を聞くこと。
その際に、本当の気持ちで話してもらうことが大事です。
②自分の世界観で話すこと(話してもらうこと)
まずは場づくりが大事で、以下は布施氏が行なった実践です。
まず、「人間はいろいろな考え方をする、考え方は人それぞれ、正解は一つでない」ということを話し、
選手たちの気持ちと頭をほぐす。
次に、隣の人と話をしてもらい、「一つの試合、プレーに対していろいろな考えがある、自由に考えていい」ということを体験してもらう。
最後に、「なぜそのとき、最善のプレーの選択ができなかったのか」ということに向き合う。
このようにして、選手たちが自分の世界観で話すことができる場づくりを行なったのです。
結局大事なことは、指導者が生徒が本気で議論できる場をどのようにして形成できるかだと思います。
そのような場が、普段のチーム作りにおいて既に形成できていれば、
外的なものを取り扱うことが多い映像ミーティングであっても、内的なものにアプローチはできます。
例えば、コーチングであれば究極的な帰着点は「選手と指導者の信頼関係」です。
これが良好であれば、どのような取り組みであっても、当たることが多い。
では、ミーティングであれば、「本気で・真剣に取り望む土壌」と言えるのではないでしょうか。
まずはその土壌作りを指導者が、本気で・真剣に行うことが第一歩と言えるでしょう。