クラシック・バレエの踊りは主に技術表現という2つの要素によって成り立っています。
 
コンテンポラリー・ダンスのように自由な身体の使い方で表現する舞踊とは異なり、クラシック・バレエは厳然たる型に身体を当てはめ、更に許される範囲で発展させて、踊り手が見せたい動きや形を表します。
 
「技術は教えられるけど、表現は個人の感性や芸術性の問題だから教えられるものではない。」などという話をよく耳にします。
 
バレエにおいて「表現する」ってなんなのでしょう?
 
 
舞踊においては、ダンサーが自分の中にあるイメージを身体で体現して観客にそのイメージ感情を伝える訳ですが、技術と違ってその表現方法には実は優劣は付けられません。あくまでも観る側の好みの問題であるからです。時代的嗜好もありますしね真顔
 
多くの人々から良いと判断されれば人気のあるダンサーとなれますが、どれほど自分で表しているつもりでいても、観客に伝わり難いあるいは受け入れられ難い表現では、プロとして人気のあるダンサーとはなれませんショボーン
 
どんなに上手でも退屈してしまうダンサーや、多少技術は不安定でも心を揺さぶられるようなダンサーは実際に少なくありませんよね。
 
 
自分がどう踊りたいかと、観客に受け入れられる踊りとは必ずしも一致しないこともあると思います。素人の私達の場合は、先生から表現を直されるという事になることが多いです。
 
自分ではこんな風に踊りたくても先生からは「変よ」とか「こう直して」と言われてしまうストレスもありますアセアセ
 
自分の我を通しすぎてもバレエから逸脱してしまいますし、でも趣味で踊っているのですからいくらかは自分の好きなように踊りたい気持ちもありますよね。(プロは原則として監督の意向に沿って踊らなくてはなりませんが)
 
時には自分のコピーのように踊る事しか認めない先生もいたりしますタラー
 
「表現する」って本当に難しい。
 
 
でも本当に表現力のあるダンサーの踊りはものすごく胸に迫って来ます!
 
(動画はデータ量を消費します。wifi 等でご覧下さい)
 
例えばこちら、
ディアナ・ヴィシニョーワさんのカルメン
 

すごい迫力ですよね!本当に表現力の塊ですハート
 
一方、同じ彼女の古典、オーロラ姫
(7:00 辺りのヴァリエーションからご覧下さい)

カルメンに比べたらずっと抑えた表現にはなっていますが、とても上品に踊っています。

(スカラ座でもっとこってりと踊っている映像もありますが、こちらはマリインスキーでの踊り)
 
 
『眠りの森の美女』オーロラ姫、特に第3幕の踊りは「バレエの王道」と言われるような、古典中の古典の踊りです。キトリのような派手なテクニックがない分、正統なバレエの踊り方が求められますし、表現を付けすぎると気品を失う、とも言われたりします。
 
その制限された動き方の中で、オーロラ姫の感情や性質を表現しなくてはなりません。
 
同じ振付けでもダンサーによって全く異なる印象を楽しめることも、バレエの醍醐味でもありますねラブラブ
 
 
自分の表現力を上達させる為には、まずは「お客様に伝えたい!」 と思うこと。
 
意識が自分にしか行かず、独りよがりの踊りは客席まで響いて来ません。
 
そして、沢山のダンサーの踊りを観て、イメージの引出しをいっぱいにすることです。
 
ダンサーがどんな風に動いて自分がどう感じたかを研究するんです。
 
例えばダンサーが腕を開いて「さあ!踊ります」とマイムをした時に、その姿が姫なのか村娘なのか、活発なのか大人しいのか、人なのか白鳥なのか妖精なのか、
 
きちんと意識して観ていれば、その違いが解って来ます。
 
ダンサーのコピーをするのではなく、自分のイメージや感情からその動きが出て来るように研究してみて下さい。
 
 
素人は確かに映像に出て来るバレリーナのように優美には動けないかも知れません。
やり過ぎは下品とも言われてしまいます。
でも何事も模倣から始まりますし、身体を動かす為には「どのように動かしたいか」がなければ踊りとしては指一本動かせません。
 
ダンサーの一挙一投足に集中して自分の中に取り入れるようにイメージを取り入れて下さい。
 
「イメージを伝えること」、これこそがバレエの神髄!
 
技術よりも大切なことだと私は思っています。
 
 

さて、最後におまけ。
 
マイヤ・プリセツカヤさんの『瀕死の白鳥』
迫力の表現力です!

彼女は生涯『瀕死』をライフワークとして踊り続けたので、年代によって踊り方が大きく違います。どれが良いということはありませんし、その時によって踊り方も大分変ります。
こちらは彼女の後期の映像だと思いますが、こうなると美しさというより壮絶さが勝りますよね。
(音が小さいので拡大してご覧下さい。)

 



そして現代の「美しい『瀕死』」というなら、私はやはりウリアナ・ロパートキナさんでしょうか。本当に美しい白鳥です。


 
 
 
舞台に上がって表現して拍手を頂く…貴重な貴重な時間です! 心ゆくまで楽しんで、その為に一生懸命悔いのない練習をして下さいおねがい
 
 
 

Ruccaの my Pick