年金の申請に行ってきた。
懐かしい会社の名前を見て、少しだけその頃の気持ちがよみかえってきた。
もう40年近く前、夢見たアパレルデザイナーとして就職した会社だった。
最初の会社は一度もパターンを触らせてもらえなかった。
くる日もくる日も型入れとボタン数えとゴムシャーリングを計る毎日。
この仕事のどこがデザイナーなんだ!と落ち込む日々。
そんな環境から脱出して飛び込んだ次の会社はとても自由に好きな服を作らせてくれた。
でもそれは自分がいかに才能がないかを思い知らされる毎日となった。
私は幼い頃からデザイナーになりたかった。
服が好きで好きで、自分の思い通りのデザインの服を作りたかった。
ただそれだけだったのに…
人並みに結婚し、子供たちもある程度手が離れると、昔の夢がうずいた。
もちろん子育てをしながらもミシンを踏まない日はほとんどなかったけど。
家族の服やオーダーで作る服と違い、ひとりよがりでもいいから自分の好きな服を作りたかった。
夫が独立することになりチャンスが訪れた!
最初こそ市場を考えた服作りだったけど、変化する市場に振り回されるより自分らしく服を作りたかった。
2年間説得して晴れて自分の店を持った!
その店ももうすぐ16年になる。
今はとても自由に服作りをしている。
生みの苦しみはあるけど思い通りに出来上がった時の喜び!
そしてそれを気に入って買ってくださるお客さん!!
もの作りをしていて最高に幸せな瞬間♪
こんな風に服作りをするのが夢だったんだなぁと今思う。
若い頃の挫折も、遠回りした日々も、何一つ無駄じゃなかったことに驚く。
このまま、今日、命が終わるというその日まで、ミシンを踏んでいられたら幸せだなぁ。
年金の申請に行って懐かしい会社の名前を見て、そんな風に思った1日だった。