ルーツ | 心がときめくジュエリー ジュエリーデザイナー 奥野貴子のブログ

心がときめくジュエリー ジュエリーデザイナー 奥野貴子のブログ

伝説となったキャラクター・ジュエリーからTVショッピングチャンネルで1日で3億円売れたジュエリーやオーダーメードまで、様々なジュエリーのデザインを手がけてきたジュエリーデザイナーのブログです。

2年前の昨日Facebookのノートに書いた文面に加筆しました。

ちょっと長い、個人的な忘備録。

時々自分で思いだしてカツを入れるためにねニコ

 

 

 

宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤

 

私は小学生の頃お絵かき教室に通っていた。

 

当時「お絵描きの先生」と呼んでいた人は20代の若き洋画家。

 

本牧の自宅から歩いて行けるところにある、元は外国人向けだったと思われる家で小学生限定で教えていた。余談だけどそこで当時小学生だった私は、初めて猫足の洋風のバスタブとトイレが同じスペースにあるということに衝撃をうけた(笑)。

そして時々ドアが壊れていてドキドキしながら入ったものでした(笑・笑)。

 

お絵かき教室と言っても当時の基準からしたら独自の路線でまったくもって型にはまっていなかった。少し絵画をやられた方はその独自性がお解かりかもしれないが、そこで小学生の私は顔彩を使って絵を描き、色をいくつも重ねて塗るということを覚え、週刊誌のカラーページを手でちぎってコラージュを作っていた。

 

小学生限定だから中学に進むと卒業状態。それでも絵を書くことや物を作ることが楽しくて美大に行った。そして現在も続けているジュエリーデザイナーという職業を選んだ。

 

     宝石赤     

 

大学を卒業してから数年後新聞を開いたら先生の訃報記事が目に入った。

 

正直小学校を卒業するとそれほど頻繁に思い出す訳ではなかったが、あまりにも早い死が残念で遺作展となるギャラリーに行った。

 

そこでまったくそれまで気にしていなかったけど、先生がパステル画を書く時の色使いが私が好んで使う色だということに気がついた。

 

無意識に根付いていた、まさにそれが私のルーツだったんですね。

 

     宝石赤     

 

最近はネットで何でも出てくるので、たまに名前で検索かけてその時々にオークションなどに出ている絵を見てちょっと懐かしんでいた。

ちなみに油絵は向かないと思われたのか、その先生は油絵は私に教えなかった。

だからネットで見ることができる先生の油絵の要素は今の私にはまったくない。

 

     宝石赤

 

そして今週仕事でもつながりがある女性の家にお邪魔した時に話の流れで小学生時代のお絵かき教室の話をした。彼女はやはり美大でデザイン科に行っていたが現在趣味で油絵を習っている。そしてふとしたことから彼女は自分の先生と私の先生が同じ出身地(広島の片田舎)であることに気がつく。

 

翌日彼女の先生の奥様の個展に行った折に彼女が「先生と同郷のこういう洋画家をご存んじですか?」と聞いたら。。。

 

彼女の先生は私の先生の甥だった!

 

 

その話をメールで彼女から聞いたあと、私的には返信するのを忘れるくらい衝撃でした。心がざわつきました。私の先生だった人は48歳で亡くなりました。数々の賞をとるもどこの画壇にも属さず一匹狼だった先生は、当時の(今でもか)その世界では名声を得るには若すぎました。昔の私は知りませんでしたけど若き天才と業界では言われていたそうですが、若くして亡くなられていたので知名度は高くなく知人やましては親戚の方がそれほど遠くないところにいたとは。。。

 

 

 

でも心がざわついたのはそれとは別の話。 

私はなぜ心がざわつくくらい衝撃を受けたのだろう??と自問して気がついたこと。

 

 

 

当時のことを思い出すうちにたぶん私はあの先生の家でとても多くの物を与えられ受け取ったのに、そして現在の私の大切なライフワークがあるのにそれを100%生かしていないと思ったからだと思う。

 

仕事にかかわらず何かを表現する・作り上げるということに必要なインプットが最近の自分には足りなかったのだと思い至る。常に感性を磨いて育てていただいた感覚を生かしていかなければいけないんだな。そして本来それが好きだったはずなのに、経験値を基準に物事をとらえ過ぎていた。

 

 

そんなわけで今週私は過去からの亡霊(あ、いい意味でね)が現れてカツを入れてもらったわけでした。

 

原点に戻らねば。

 

宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤宝石赤

 

 

2014年4月に書いたFacebookノートを一部加筆修正しました。

仕事における私が与えていただけた高い経験値は財産だと思っています。

だけど感性を必要とする仕事をするうえで時に経験値に偏ることが多々あるので、たまに立ち止まって深呼吸をして「ゼロ」地点に戻らないとね。