タダで巡るフィレンツェ観光 Part 5「最後の晩餐」シリーズ☆フリーニョ修道院美術館(前編) | フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京

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フィレンツェ観光ガイドの資格を2016年に取得しました。
現在は都内で美術の鑑賞の仕方を教えています。
詳しくはホームページから。
http://mariko-no-heya.com/


Buon giorno みなさん♪
連休開けの1週間はいかがでしたでしょうか?
ちょうど松の内も明けておぜんざいを食べた、なんて方もいらっしゃるかと思います。

さてさて、先週ですがフィレンツェだからこそ見ることのできる絵画を見てきたので、紹介します♪








フィレンツェには「最後の晩餐」をメインにした無料の美術館が4つあります。
前回は2回に分けてルネサンスの代表作、カスターニョの「最後の晩餐」を紹介しました。

「最後の晩餐」はキリストが捉えられて磔刑になる前に弟子たちと食べた食事のシーンを描いたものです。
カトリックの修道院では、食堂にこのシーンが壁画として描かれていたそうです。
壁画なので運搬が難しく、今でも修復などを施して同じ場所で鑑賞します。

前回のサンタポローニャも元修道院、そして今回訪問したフリーニョも元修道院です。





フィレンツェの中央駅サンタ・マリア・ノヴェッラからほど近い場所。
大きいけれど、知らなかったら通り過ぎてしまいそうです。


中に入ると係りの方に名前を書くように指示されます。
そして寄付として1ユーロを渡して中に入りました。

大きな空間。
そしてその一番奥に「最後の晩餐」が描かれています。



この美術館に収められているのはペルジーノ工房およびその弟子たちの作品です。

日本ではそれほど知名度は高くありませんが、ペルジーノはルネサンス期の人気の画家でした。



彼の工房で作られた作品がたくさん残っています。


フリーニョ修道院美術館にあるペルジーノ工房作の「聖母子と聖ヨハネ」


この作品、なんとなく見たことがある気がしませんか?


ではこちらはどうでしょう?

パリ、ルーヴル美術館の至宝、ラファエロ作の「美しき女庭師」です。


そう、ラファエロはペルジーノ工房の弟子だったんです。

フリーニョ修道院美術館にあるラファエロの胸像。割とイケメン。



こちらの「最後の晩餐」は近年の研究結果によってペルジーノとその工房の作品ということがわかりました。
しかし長い間、ラファエロの作品と信じられていました。



ラファエロは盛期ルネサンス以降の西洋美術の中で「お手本」の位置を占めるようになります。
たくさんの画家がアカデミー(絵画の最高学府)で彼の画風を学びました。


ここの「最後の晩餐」も19世紀までたくさんの画家が模写していました。



その後19世紀の後半になるとフランスで写実主義や印象派といったアカデミーから離れる動きが活発になります。
同時期のイギリスではその名も「ラファエル前派」といって、ラファエル(ラファエロの英語読み)以前の画風を研究する動きが出てきます。





少し話が近代まで進んでしまいました。
16~19世紀の西洋美術のいわば基礎とも言えるのがラファエロ。
そしてその巨匠を育てたペルジーノが西洋美術において大きな位置を占めることがわかるかと思います。


次回はペルジーノの「最後の晩餐」の細部に迫ってみたいと思います。



よく見ると詳細に描かれている細部。
次回たっぷりご紹介しますね♪







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