1998.01.18
１９７１年頃だったと思う、場所は後楽園球場でのコンサートだった
夏だった、前日付き合っていた女から電話で、「切符が手に入ったの
で一緒に行って欲しい」と…
私の洋楽の思い出は、１９７０年「レット・イッツ・ビー」と「明日
に架ける橋」で終わってしまった。それ以降の洋楽には全く興味が
無くなってしまった
そんな訳で１９７１年（７２年）のこのコンサートは興味が無かった
が付いていった
飯田橋で待ち合わせして、三塁側のベンチのすぐ上の良い席だった
その女性は「基地の人に貰った」と話していた通り、私の廻りは全部
外人で、始まる前から悪乗りしていた
廻りの外人は私を「フレンド・フレンド」と言い、ビールをくれた
始まってからだったか雨が降ってきて、それも激しい雨、それでも演
奏は続いていた、ギターの演奏者が感電したが、曲は続いていた
ベンチの上で踊り出した、誰も止めない
ボーカルの人が煙草を吸い始めた途端、球場の観客も煙草を吸い
始めたのか、球場全体に紫の煙がカクテル光線と雨の白い糸がとて
も奇麗に映っていた
「フレンド」隣の外人が煙草を勧め、一服すると「チェンジ・チェン
ジ」１０分おきにその煙草が廻ってくる、異常に臭い煙草であった
皆、Ｔシャツを脱ぎ、靴の中まで雨が入っていたが皆、踊っていた
傘なんてさしている人はいない、ビールの雨も降ってきた
その時、私の耳が変になったのか、ベースの音とバスドラの音しか聞
こえない、目はズームレンズの様にギターを演奏するピックまで見え
てきた、英語を喋れない私が廻りの外人と話している、雨の白い線が
奇麗に見える
「これは夢なんだ」とその時思った
コンサートが終った時には私もＴシャツを高々回し、前の女性はブラ
ジャーを回し、隣の外人は一物を回していた球場全体が一体になって
いた、こんなコンサートは始めてだった、後楽園球場を満員にするバ
ンドなんだから、きっと有名なバンドだったのだろうが、私の記憶か
ら消えてしまった。