うたかた | RUBYBIRD

うたかた

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田辺聖子さんの著作の復刊が続いています。
講談社文庫からでたこの本は、
なんと田辺さんのデビュー作「虹」を含む短編集。
これを旅行の移動時間にちびちび読んでました。

短編集、作家さんを問わず大好き。
短いぶんあれこれ自分で埋める余地が多い気がするし、
なにより私は物語を一回読んだだけでは覚えられないのです。あせる
一回読んだ作品のあらすじを後になってすらすら言える人を尊敬。
どんなに素敵な作品でも1ヶ月後には何も思い出せないのです、昔から。
経済的だけど、あほかもしれぬ。

さておき。

田辺さんのお話に出てくる人は
どの人も総じて気持ちのいいひとばかりです。
とても情けが深いけれども一方でからりとしている。
あのじわっとする感じはこの文章のどこに閉まってあるのかと
丹念に読んでみると意外とハッキリ文字で言ってるのに
それがすっとはいってさばさばと感ぜられるのも不思議だなー。

デビュー作「虹」は、足に障害のある女の子の実らない恋の話。
けんか腰で職場を離れたものの、年老いた母親と二人暮らしの息苦しさ、
再就職の不安、自由にならない自分の体への苛立ち、
そのなかで彼との距離がどんどん遠くなる…
といった心の揺れが手に取るように写し取られています。
でも最後には私も幸せになるんだ、頑張るわ、と締めくくるんだから
田辺聖子ワールドの登場人物は足腰が強い。
読んでてかなしい恋ばかりなんやけども、読み終えてすっきりする。(しかも短い)


話変わるけど、島田洋七さんがテレビで
「最近のやつはやれストレスだなんだっていうけども違う、我慢が足りんだけや。」って言ってたのが痛快でした。

大阪やっぱいいなあ~さばけてて・・って違うか。


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田辺聖子