知っていますか | RUBYBIRD

知っていますか

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他人に話すと若干引かれるタイトル2冊。

そもそもは旅行前に、教会たくさんまわるんだし
少し勉強しようと思って旧約から読みはじめたんだけども、
途中で気づいた。キリストの話は新約のほう読まなきゃいけないのに間違えた。

でも結果的には旧約、とても面白かった。
宗教云々というよりイスラエル建国史としてみるといい。
イスラエル人とユダヤ人の違いも初めて知った。

それで続けてコーランも読んでみた。
エジプト行ったときに、現地の若い人がみーんな熱心に読んでて
とても面白いらしい、てことだったので。

ごく単純にいうと、コーランは旧約の影響をものすごく受けてて
むっちゃ似てる。(まだ全部読み終わってないけど。)部分的にそっくり。
旧約がでて数百年たって色んな亜流が出てきたとこで
最後にして唯一の宗教やでー、って旧約やら周辺民族の逸話やら
全部飲み込んで出てきたのがコーラン
…と私は理解してる。


2つ続けて読んでみて改めてすごいなと思うのは、
旧約のほうの「おはなし」の力。
アブラハムやらモーセやら聞いたことあるストーリー満載なんだけども
そのどれもがお話としてとても面白くて、
これが本当にあった話だろうが、プロパガンダだろうが、
どっちでもいいやーと思える。

でも旧約にそういう「話として面白い」「面白いから人口に膾炙する」
って見えないパワーがあったからこそ、
イスラエル人は何千年も経った現代でも団結してるし、
その影響をうけた他宗教も産まれてったんよね。

なんか人間って、事実を単に並べただけでは
ハードディスクみたいにカリカリ覚えるのは苦手で
でもそこにお話の流れというかうねりみたいのをトッピングするだけで
何千年もの時間をこえて記憶していける、という途方もなさ。

なんか結論おかしいけど、
これ読んで小説家を尊敬するようになりました。
ストーリーテリングの力ってすごい。

あと、作者の阿刀田さんはとてもニュートラルに
しかもとてもとっつきやすく噛み砕いてくれているので
すいすい読めました。


追;
旧約にしてもコーランにしても結局テキストでしかないので
何かを「信じる」メンタリティはこれではサッパリわからない。
(本でわかるわけないか。)
日本人は、というか私は無宗教なので、
自分と他人と、あと時の運以外に何か大きなものの存在って全然分からないけど、
そういうの信じてる人ってどんなんなんやろ。覗いてみたい。