みんなラストオーダーだよ!また明日があるからね。 | RUBYBIRD

みんなラストオーダーだよ!また明日があるからね。

もうすぐ日本を離れる友達と、
「愛おしき隣人」という映画を見に行きました。

彼女は、外国でアートを勉強しにいくのだけども、
映画の前に森美術館のキュレーターの方のお話を聞ける回がある
と聞いて、面白そうだなと。
そしてこれを共有できそうなのは、
彼女だなと。





「愛おしき隣人」の監督さんは、
ロイ・アンダーソンというスウェーデン人です。
広告出身の映画監督で、
絵の撮り方とかストーリーの組み立てとかがそれっぽいかも。



原題は、「Du Levande」
英語に訳すと、「The Living」です。
日本語の訳はちょっと甘めの味付け。




描かれているのは、
ひとを見つめていると浮かび上がる「おかしみ」。
特に、人と人のあいだの「すれちがい」のおかしさがとても多かった気がする。


誰かと一緒にいて、ああ楽しいとか、落ち着くと思うときって
たぶん二人の温度というかトーンが近くなってるときなのだと思うけど、
この映画の中では、どのシーンでもそれがかけ離れていて、
その落差(たとえば片方はむっちゃ本気なのに、片方は全く冷めてるとか。)に笑ってしまう。
当の本人からしてみれば、その落差ってとても居心地の悪い
もののはずなのだけど、その描写がされてないからあまり不快に感じない。




むしろそのトホホな感じがとても温かく大らかに描かれていて
それでとてもゆったりした気持ちになります。

よくよく掘りさげて考えると、とても残酷な作品でもあるのだけど、
不思議と後味の悪さはないの。




ちょっとだけ悲しいのは、
とても素敵な夢を見る女の子がいるのだけども、
分かりあいたいと思う相手とそうなるのは、
夢の中、という。
でもそのシーンはとてもロマンチックです。





でも、この映画を見終わって不思議なんだけど、

誰かと分かりあうって奇跡に近くって多くを求めちゃいけないな。

と思うと同時に、

でも分かりあえなくても別にいいや。

という気分になるんだよね。
いいじゃん分かんなくて。分かんなくても十分素敵かも、
という変な意味で達観できる、
そんな映画です。





ほんとに、誰かと分かりあうのって
幻想なのかもね。
最近私は自分の進路に悩んでいて、
ゴハンを食べながら思わず
一緒にいた彼女に相談してしまったのだけども、
これから外国行って、それこそどうなるか分かんない人に
サラリーマンの悩みを聞いてもらう、って構図自体が
笑っちゃうな、と。

んで、こういうのって笑っちゃうよね、
て話ができること自体がとても素敵なことなんじゃないかと、
思った日曜の夜でした。
星空



愛おしき隣人/スウェディッシュラブストーリー
(ウェブサイト、いい音が流れます。)


追;ちなみに私の一番のお気に入りは、
  女のひとがお風呂で歌を歌うシーンと、
  バーの主人が「みんなラストオーダーだよ!また明日があるからね。」
  というところです。

  じんわり。