ヴィトンのゴルバチョフ | RUBYBIRD

ヴィトンのゴルバチョフ



今日の日経。見ましたか?
15段4色×2でルイ・ヴィトンが出稿していました。
(新聞は1ページを15段で組んでいるので、
1ページ丸ごとを15段と呼びます。)


同じ出面を既に雑誌で見かけていたのですが、
一瞬、だれだこのおじさんは??
と思って、
でも意味のない人をヴィトンがわざわざ起用するはずはないので
よくよくコピーを読んだら、ゴルバチョフさんでした。






なぜ人は旅をするのか。世界を知るため?
それともそれを変えるため?

ベルリンの壁。ある会議からの帰路。

ミハイル・ゴルバチョフとルイ・ヴィトンは、
グリーンクロスインターナショナルの活動を支援します。




ここで、あ、ヴィトンの企業広告か。
と気づく。




新聞原稿では、さらにカトリーヌ・ドヌーヴのバージョンもあります。
(女性誌に出稿になっている気がします。
まだ私は確認できてませんが。)





このドヌーヴ、本当に綺麗!
最近、パパラッチドヌーヴしか見てなかったのですが、
きちんと被写体として写っている彼女は
凛としていました。

こちらも、ドヌーヴとヴィトンは地球温暖化防止プロジェクトを
支援している…
という内容が続きます。




----ここからちょっとややこしい話。興味ない人は飛ばしてね。

景気が上向いてきた辺りから、
企業からCSR(企業の社会的責任)の案件が増えた、
という話は以前書いた気がしますが、
企業の広報活動の中で
いわゆる直接的な取引先だけでなく、より広い社会全体の、
全方位的なステークホルダーに対して責任を負う
(たとえば法律を遵守する、情報をオープンにする、継続可能な社会のため
環境保全や資源の節約をする、とかそんな感じです。)
という考え方が主流になってきています。

最近の話題だと、CO2削減への取り組み(これは前向き)だとか、
30年だとか前の電化製品の事故告知及び自主回収(これはちょっと極端な例もある気が…)
あたりでしょうか。


企業としては、こうした社会貢献活動をただするのではなく、
取引先への好感度を上げたり、自社のブランド価値アップ等々の
無形資産に還元して回収したいと思うのが心情です。
そうした企業にしてみれば、できるだけ情報価値のある
(パブリシティ効果の高い)活動をしたいわけで、
そう考えると先ほど挙げた
法令遵守、情報開示、環境保護あたりに取り組んでいるだけではもう当然で
それをどう料理して、世の中一般にアピールさせるか
いつも頭を悩ませているのです。

(私の話は広告サイドに偏っています。
おそらくこの手の話は広報広告に収まらず、経営に関わることなので
きっともっと広く長期的な考えがあって最終的に導かれているとは
思いますが、ここでは私が普段感じでいることを主体に書いています。)

ヴィトンに関しては、しっかりブランド管理されている企業体ですから、
コミュニケーション戦略の中にCSRの考え方はしっかり根づいていて、
今回の広告など端的です。

ただ、企業全体としてのコミュニケーション戦略を持たない
そこんじょそこらの企業にとっては、
CSRやその一部としての社会貢献活動は
企業活動の延長線として捉えられていないと
長続きしないだろうと思います。

例えばあるメーカーが企業の取り組みとして環境保護を謳いたいとする。
そのために、例えば野鳥のサンクチュアリまで作ることはないのです。
特別なことをしようとするのでなく、たとえば工場廃水を2/3に抑えてみるとする。
それは自社としても経費節減に貢献しますし、結果的に環境にも貢献していることになる。
こうした企業の利害と社会の利害が一致したケースだと
取り組み自体が本当に長持ちします。
企業としてそれほど負担にならないため(むしろプラス)続いていくのです。

人は社会貢献、というビックワードが出てくると、
どうしても特別なことをしなければという気分にもなりますが、
視野が広いぶん、長続きしなければあまり意味がなくなってしまいます。
先ほど例に上げたサンクチュアリも、
長期的な維持ができずに空き地になってしまうのであれば、
毎月の廃水を減らすことのほうが最終的には勝ります。

もちろん、大切なのは続けられるか?という点にあるので、
サンクチュアリを10年20年のスパンで保てる企業であれば
こんなに素晴らしいことはありません。


広報や広告が扱う情報には、短期間で一花咲かせなければならないものと
長い期間で熟成させる必要のあるものとに分かれます。
後者の場合に最も大切なのは、
クライアントに長く続けるだけの心の準備があるかということです。
その2種類のコミュニケーションを混同してしまっている企業が
多いように思います。



それにしても、ヴィトンのこのキャスティング、本当に絶妙!
ゴルビーが出てくるあたりなんて、生半可じゃない姿勢を感じてしまいます。
(多分それがねらいなんだけど。)