うに煎餅の男の子 | RUBYBIRD

うに煎餅の男の子

1年ほど前に、
角田光代さんを狂ったように読んでいた時期があった。


小説は作家を問わず長編より短編のほうが
断然好きなのですが、
「Presents」は、人生の中で誰かから受け取った大切なもの
をテーマに12の短編からなっています。




お気に入りはそのときどきで変わるけれど、
「うに煎餅」という短編に出てくる悟くんという男の子のせりふが
とても印象的。


 「きみにはわからないと言ったら、永遠にみんなわかりあえない。
 そんなの一番つまらない。
 おれの前で二度と『何々だからあんたにはわからない』と
 ものごとをくくらないでくれ」


このせりふから滲む、悟くんのまっすぐな感じが
とても好ましいのです。

歩み寄ろうという気持ちがあれば、
いつかきっと分かりあえるって
どこまでも信じていたいよな。
そういう、
人間に対する根底の信頼感
みたいなものがないと、
心がぱさぱさ乾いていく気がするよ。

だから、普段てきとうであっても、
こういうところがちゃんとしてる人って
なんだか情の深さを感じて落ち着くのだ。






装丁は、松尾たいこさん。
この本で一躍売れっ子になってしまいました。
初回本は、カバーがラッピングペーパーになっています。
本の装丁って、広告のクリエイティブとはまた違う面白さなんだろうな。



この「うに煎餅」は映画化され、3月公開予定です。
また、同じ「Presents」内の「合鍵」という短編は、
既に昨年末に広末涼子さん主演で映画化されています。







明日は長嶋有さんの話をします。