クリスマスキャロル
季節はずれだけど
宇野亜喜良の話が出たので。

チャールズ・ディケンズ
「クリスマスキャロル」
子供の頃、すり切れるほど読んだ本。
かなりぼろぼろ…
強欲者スクルージが、
精霊たちとともに過去・現在・未来を旅するうち
あたたかい心を取り戻していく、
というストーリーもさることながら、
舞台はクリスマスのロンドン!
子供心にも、
日本にはない「クリスマス」の雰囲気に
くらくらした覚えがあります。
そしてその雰囲気を盛り上げるのが、
宇野亜喜良の挿絵。

目次…物語はここからはじまります

強欲者で底意地の悪いスクルージは、
クリスマスイブも
水槽のように寒い部屋で仕事をしています。

そんなスクルージの枕元に、
旧友マーレイの幽霊がやってきます。
マーレイは、
これから三晩のあいだ
スクルージの元に三人の精霊が
やってくることを告げます。
第一の精霊はスクルージを過去へと
連れて行きます。

既に死んでしまった妹や、
大好きだった奉公先の仲間達、
別れてしまった恋人。
これまで思い出しもしなかった懐かしい光景が
スクルージの前に広がります。

「あなたは世間ばっかり、気にしすぎるんじゃないかしら。」
むすめは、おだやかにいいました。
「世間からばかにされたくない……
ただただそれだけをいっしょうけんめい望んでいるうちに、
ほかの希望をすっかりすててしまった。
あなたが清らかな望みをひとつひとつすてていって、
お金もうけをしたいという強い欲にとりつかれてしまうのを、
わたし、ずっと見ていたわ。そうでしょう?」
本文101ページ
第二の精霊は、
スクルージを現在のクリスマスに連れて行きます。
スクルージの甥は人生を楽しむ名人。
彼は亡くなった妹のひとり息子なのでした。
スクルージの元で働く事務員ボブ一家も
貧しいながらも幸せなクリスマスを迎えています。

ボブにはチムという息子がいます。
生まれつき体の弱いチムちゃんを気遣いながら
一家はあたたかな時間を過ごしています。

最後の精霊は
スクルージを未来のクリスマスにいざないます。

そこにはスクルージの姿はなく、
人相の悪い人物ばかりが現れます。

そしてスクルージは、
誰からも悲しまれずつめたくなっている
ひとりのかわいそうな人間の枕元に立つのでした。
誰からも愛されず、
必要ともされなかったスクルージ。
そんな自分に涙したとき
夜が明けます。

それはクリスマスの朝でした。
スクルージには、
まだクリスマスを、
人生をやりなおす時間があったのです。
---------------------
チャールズ・ディケンズ 著
「クリスマス キャロル」
少年少女世界文学館 第7巻
講談社 1987
訳 こだまともこ
装丁 菊池信義
挿絵 宇野亜喜良
宇野亜喜良の話が出たので。

チャールズ・ディケンズ
「クリスマスキャロル」
子供の頃、すり切れるほど読んだ本。
かなりぼろぼろ…
強欲者スクルージが、
精霊たちとともに過去・現在・未来を旅するうち
あたたかい心を取り戻していく、
というストーリーもさることながら、
舞台はクリスマスのロンドン!
子供心にも、
日本にはない「クリスマス」の雰囲気に
くらくらした覚えがあります。
そしてその雰囲気を盛り上げるのが、
宇野亜喜良の挿絵。

目次…物語はここからはじまります

強欲者で底意地の悪いスクルージは、
クリスマスイブも
水槽のように寒い部屋で仕事をしています。

そんなスクルージの枕元に、
旧友マーレイの幽霊がやってきます。
マーレイは、
これから三晩のあいだ
スクルージの元に三人の精霊が
やってくることを告げます。
第一の精霊はスクルージを過去へと
連れて行きます。

既に死んでしまった妹や、
大好きだった奉公先の仲間達、
別れてしまった恋人。
これまで思い出しもしなかった懐かしい光景が
スクルージの前に広がります。

「あなたは世間ばっかり、気にしすぎるんじゃないかしら。」
むすめは、おだやかにいいました。
「世間からばかにされたくない……
ただただそれだけをいっしょうけんめい望んでいるうちに、
ほかの希望をすっかりすててしまった。
あなたが清らかな望みをひとつひとつすてていって、
お金もうけをしたいという強い欲にとりつかれてしまうのを、
わたし、ずっと見ていたわ。そうでしょう?」
本文101ページ
第二の精霊は、
スクルージを現在のクリスマスに連れて行きます。
スクルージの甥は人生を楽しむ名人。
彼は亡くなった妹のひとり息子なのでした。
スクルージの元で働く事務員ボブ一家も
貧しいながらも幸せなクリスマスを迎えています。

ボブにはチムという息子がいます。
生まれつき体の弱いチムちゃんを気遣いながら
一家はあたたかな時間を過ごしています。

最後の精霊は
スクルージを未来のクリスマスにいざないます。

そこにはスクルージの姿はなく、
人相の悪い人物ばかりが現れます。

そしてスクルージは、
誰からも悲しまれずつめたくなっている
ひとりのかわいそうな人間の枕元に立つのでした。
誰からも愛されず、
必要ともされなかったスクルージ。
そんな自分に涙したとき
夜が明けます。

それはクリスマスの朝でした。
スクルージには、
まだクリスマスを、
人生をやりなおす時間があったのです。
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チャールズ・ディケンズ 著
「クリスマス キャロル」
少年少女世界文学館 第7巻
講談社 1987
訳 こだまともこ
装丁 菊池信義
挿絵 宇野亜喜良