小学校からの親友がいた。

とっても仲が良くて、意思の無い私に「自分で選ぶ勇気」を教えてくれた友人。

小学生のころの私は、ひどく大人しく、遠慮がちで積極性や自己主張は無かった。

無かった、と言うより両親からずっと言われ続けていたことがある。

「親の言うことさえ聞いていれば絶対なんだから。あんたは自分で考えなくていい」

3人姉弟の真ん中で、姉は気が強く、弟は長男と言うことで両親は常に長男の弟を

最優先にする。

何かあると「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」(私じゃなくてもよくある話ですよね)


なので、お友達の家に行っても、何をするのも「どれがいい?」とか「何にする?」とか

聞かれても、「どれでもいいよ」「なんでもいいよ、○○ちゃんにあわせる」と

言うような子どもだった。(小学校3年か4年)


それが、親友と出会ってから、親友は「どれでもいい、じゃないよ。どれがいいの?」

「・・・・じゃぁ、これでいい」と私が言うと、

「これで、いいじゃなくて、これが、いいって選ばないと!」

と私の意思を常に確認してくれた。


父は怒ると暴力をふるう人で、殴る蹴るは普通のしつけだった。

口答えすると、すぐにそう。母も何も言わないしむしろ「ほらごらんなさい」くらいの人だった。


親友には怒られる時に、手を挙げられる事を話していた。

「それ、殴らなくても口で言われて分かることなら、殴らないで、って言いなよ」

ずっとそう言ってくれていた。


そして、ある時にやはり何か些細な口答えをしたときに、父に酷く殴られ、蹴られた。

思わず、「もう中学生なんだから口で言えば分かるんだから殴らないで!」と言った。


父は自分がそうやって育てられてきたので、それが自然だと思っていたらしく、

私の言葉はかなりこたえたらしく、それから父は手をあげなくなった。


そうやって、私の意思のない、気弱な性格を「こう考えた方がいいよ」などとアドバイスしてくれた

のもあって、多感な思春期に、自我と言うものは持ってもいいんだ、と気付くことができた。


ただし親は自我を持つ私が扱いにくくなったのもあり、親友を嫌っていて、

「もう付き合うんじゃない!」としきりに言っていた。

私は「友達は自分で選ぶから」と言い、「親の言うことは絶対」の呪縛から逃れられるようになっていた。


高校から先の進路で離ればなれになり、高校卒業後も違う地域に住んでいた彼女ととても

仲よくしていて、彼女の相談にも乗っていて、彼女にはいつも遠慮なく意見を言っていた。


そんな彼女が短大時代に、ちょっとワケありの元彼氏と再開してしまった。

そこから彼女は荒れた。

合コンで知り合った間もない人と行きずりで泊まったり、好きでもない人と付き合ったり。


その頃は、連絡が途絶えがちだったのもあって、様子が分からずにただ心配するだけだった。


その彼女が社会人になり、長く続いている彼と出来婚をした。

ただ、元彼が忘れられない勢いで付き合っていた彼。

ひどい壊れ方をしていて、酔ったいきおいで、エッチしながら電話をかけてきたこともあった。


それでも彼は献身的に彼女を支えていてくれていたのもあって、結婚する、と聞いた時に

子どもが出来たと言うのもあるけど、これで落ち着いてくれたら、と思った。


でも彼女は夜勤で不在がちな旦那さんとすれ違いの生活から、当時流行っていた

テレクラ(古い・・)で、遠方の男性と仲よくなった。

俗に言う、テレHにハマっていたのです。



当時の電話代は高く、月数万円、ときには十万円を超える電話代の請求から、サラ金に手を

出していたことを聞いた。


その時私は、「元彼が今でも気になっているんでしょう?」「一度ケリをつけたら?」

と、気持ちの整理をしてやり直して欲しかったから言った。


事実、テレクラはその元彼が忘れられず、旦那さんも不在がちで子育てのストレスもあって

そのはけ口だった。


その時、私は親友に「子どもの為にちゃんと旦那さんとやり直さないとダメだよ!」と

言うことが出来なかった。。

本当はそういうべきだったのだと、今なら思うけど、


当時の彼女の壊れ方は、その元彼の想いがたち切れずに、ずるずる引きずっていた。

だから、「あなたの後悔しないようにしたいようにすればいい、気が済むようにしたら?」と

その元彼との区切りをつけるべきだと言った。


友人は、ある時、子どもを連れて実家に戻ってしまった。


後に残ったは借金と親権争いのゴタゴタ。



小さな子どもがいて、シングル、そして社会人経験が殆どない彼女に不景気な田舎では新しい仕事もなく、

実家に住んでいるとは言え厳しかった。


結局親権を貰う代わりに、借金は親友が背負う、と言うことが、本人に意思とは関係なく、

両親の間で決められた。


それから彼女は仕事を掛け持ちして、働きづめになった。


その間も私と彼女の親友と言うのは変わらなかった。


ふと、あるとき何気ないお誘いを私が断ったことがあった。

その時に付き合っていた(同棲していた)彼と約束があって、その彼も不在がちな人だったのが

やっと長期の出張から戻ってきたばかりだったのもあったから、彼女にはごめんね、と

断りをいい、電話を切ろうと思った。


たぶん、彼女は何か私に話をしたかったのだと思う。

私はそれを汲み取れなかった。


そこから、小さな喧嘩になった。 今まで喧嘩なんてしたことなかったのに。

「結局大事なのは自分だよね」みたいな事を言われ、とても驚いた。

たぶん色々な事に疲れた彼女が、つい口から出てしまった言葉なんだと思う。

そして、「私はあなたが区切りをつけた方がいい、って言うから家を出たのに!」

と言われた。

「そうは言ったけど、自分が決めることだよね?それに、家を出た方がいいとは言ってないよ」

と言ったけれど、彼女はガンとして私が家を出た方がいいと言ったと言い張る。


かなり平行線をだどり、これ以上話をしても仕方ないと思ったから、今は冷静になれないから

電話を切ろう、と言って切った。


それから、彼女は私の電話に出なくなってしまった。

居留守を使い、部屋の電話(当時は携帯もメールも無かった)に繋がらないから、実家の大もとの

電話にかけても出なかった。


それから、もうずっと音信不通になっている。


ずっと前に、偶然街で会って、少し立ち話をしたことはあったけど、それくらいだった。

(その喧嘩別れの9年後くらいだったような気がする)


今でも私はその彼女を親友、と思っている。 


でも、私は人にアドバイスすると言う時に、必ず注意することになったことが出来た。


「私はこう思うけど、決めるのは自分だから後悔をしないように、好きなようにしては?

でも、絶対後悔しないように、よく考えてね」


軽々しくアドバイスした私の言葉を鵜呑みにして、思い切った行動をとった彼女は、

もしかしたら今でも「私のせいで」と思っているかもしれない。


それから、私は人からアドバイスされる時も、「自分が後悔しないように」と強く思うことにしている。


決めるのは自分だから。


だって、自分の人生だもの。 一度しかない人生、後悔しないように、自分らしく活き活きと

生きたいから、誰からアドバイスされても、それはアドバイスであって、決めるのは自分。

たとえアドバイスされたことと同じ選択をしたとしても、それは自分が決めた事。。


だから、だれも恨まないのです。 悔いることもしないようにしています。



私が結婚して引っ越しした時、1枚はがきを送りました。


それから数年経って、1枚の年賀状が届き、再婚したことがわかりました。


それ以上彼女との付き合いはないけれど・・・


でも、私に色々大切なことを教えてくれた人です。


今、この記事を書いて、やっぱり思う。 自分に後悔しないよう、精一杯生きようって。



お友達の記事を読んだらムショウにこの記事が書きたくなってしまいました・・・(笑)


さ、もう寝ようっと。


                                     ~ ruby ~



 ※めずらしくファン限定にしませんでした。