第五部 どしゃぶりのひに
夕暮れ時の穏やかな陽差しを受け、枯れ草を踏み倒しながら小さな丘を登るヤギのメイ。
向こうの丘ではオオカミのガブが枯れ草を踏み倒しながら登る。ガブとメイの秘密の合図なのである。
当日、ガブとメイが約束したその丘には“餌”を求めてオオカミたちも来ていたのだ。
幸いなことに、ガブは仲間より先にメイを探しだし密かに逃がしてあげる。そんな二匹の行動を見たヤギが、オオカミに襲われ命からがら逃げ帰って来て、ガブとメイのことを仲間たちに話してしまう。
ガブまた、メイとのことを仲間に知られてしまっていたのだ。
とてもきのあうおともだちにであったので、なかまに、そのともだちのはなしをした。ところが、なかまは、そのともだちのわるいうわさをおしえてくれた。さあ、どっちをしんじたらいい? 木村裕一
北の丘にはオオカミの群れ、西の林にヤギの群れ、行く先々には噂好きの森中の動物たちの目や耳が・・・
ガブとメイにはお互いから聞き出さねばならないことがある。気が重い。とぼとぼと歩くガブとメイ。
川原でメイが足を滑らせてしまった! 川に落ちたら流されてしまう! 必死でメイを助けるガブ!
“ぬくもり”を感じあった二匹の進む道は決まったのである。
谷川の向こう岸を目指して激流へ・・・・ 小さな水しぶきがあがる。
ガブとメイは生きて。再び巡り会うことができるのだろうか・・・・・・・・・・
※ どくしゃのみなさんへから始まる文(青色部分)は、この本から転記しました。
カバーの表紙折り返し部分に記されています。