{久しぶり。今から会わない?〕


「は・・?」



仕事の残業中、ケータイのLINEにメッセージ。
それは高校時代の友達だった。
卒業して別々の道を歩んだあたし達は連絡を取ることもなく疎遠に。
その子は今どこで何をしているのかも分からないくらい遠い存在になった。
それが今、彼女からの突然のLINE。



〔何?突然}

{いや・・久しぶりに話したいだけ。いいでしょ?〕

〔まぁ、いいけど。あたし残業中だから遅くなるよ?}

{全然OKです!〕

〔分かった。終わったらまた連絡するわ。}


{分かった(‐^▽^‐)〕



ため息をつきながら仕事に戻る。
最近のあたしは働きづめで休息というものをとっていない。
行き詰まりの八方塞状態。
ちょっと前のあたしだったら残業しなかったのに・・・。

背伸びをしながら、座り直す。会社の自販機で買ったココアを飲む。
現在時刻 17時53分。
彼女も待っていることだし、早めに仕事を片付けることにした。




「おーい!こっちこっち!」

『ちょっとアンタ、声デカイっての!』

「にゃははん♪」



再びため息をつく。この年になっても友達は元気さは変わっていなかった。
あれから仕事をチャッチャと終わらせLINE。
有難い事に友達、桜は会社の近くの喫茶店まで来てくれていた。
おかげで早く合流できたのだ。



『で?突然の呼び出しはなんなの?』

「二ヒヒ・・ジャーン!卒業文集です。ついこの前クラス会あったのよん」

『え、そうなの?』

「うん。卒業式に間に合わなかった文集をクラス会のときに渡したの。
 もう!春チンだけなんだよ?来なかったの・・。連絡も繋がらないし、
 クラスの誰一人知らないっていうし・・。」

『・・あ・・、卒業して半年後にケータイ水没させたんだわ。』

「そうだったの?」

『うん。それにしてもよくLINE見つけたわね?』

「ふ・ふ・ふ~♪私の情報網をなめちゃいけやせんぜ?」

『・・・。』

「まっ、それはおいとて。はい!春チンの文集だよ。」

『ありがとう』



文集を受け取り、パラパラとめくっていくと
先ほどカウンターで注文したカフェラテが来た。
氷がカラン、カランと音をたてて・・。まるで夏が来たような雰囲気を漂わせている。



『へぇ・・、一番最初のページには寄せ書きかぁ。』

「そう!次のページは行事ごとに写真とふきだし」

『うわ(笑)懐かしい・・修学旅行じゃない?夜に枕投げしたんだっけ?』

「そうそう!疲れきった時に怪談話して・・」

『タイミングよく古井先生登場』

「皆で悲鳴あげたね~」



喫茶店の中にもかかわらず声をあげて笑う。
部活の大会や文化祭、体育祭など高校3年間の思い出を振り返りながらページをめくっていく。



『ここからは個人の文集かぁ。・・お、桜発見!なになに・・』

「あー!!」



いきなり叫びだし文集を隠す。あたしは突然のことに驚いたが桜を睨む。



『ちょっと、何すんのよ。文集がグチャグチャじゃないの。』

「ここは家帰ってから見て。」

『はぁ?いいじゃない、へるもんじゃないんだからさ。』

「だーめ」



本日、何回目かのため息。
仕方なしに文集を閉じ、かばんに入れてカフェラテを飲む。



「そーいえば、春チン。老けた?」

『アンタ・・喧嘩売ってる?』

「んなわけないじゃないッスか!」

『・・にしてもアンタ元気よね。昔とほとんど変わってない。
 あたしなんか最近仕事バッカリだし。ストレス発散すらしていないわ。』

「それはまずいって!ストレスはお肌の天敵ッスよ?」

『分かってはいるんだけどね・・・』



そう言われても・・と呟きながら背もたれに寄りかかる。
グッタリとした体に気持ちいい。


「相当お疲れッスね~。そうだ!園芸は?昔大好きだったじゃない。
 植物は心の栄養ってよく言ってたじゃん!」

『そうね・・最近ふれ合ってないわね・・』

「それッスよ!ちょうどいいのがある」



桜は少し大きめの紙袋を渡してきた。
不思議に思い、中身を確認する。そこには綺麗にラッピングされた
日々草の造花があった。



「本当はクラス会で渡す予定だったんだよん♪
 久々に会う友に手土産なしじゃ・・ねぇ?」



そういって、アイスモカを飲みながらウインクする。


「大人になった今、昔と違って毎日会うことは出来ない。
 今までも・・・これからも・・・春チンは私の友達。
 今みたいに辛いときとか、いつでもLINEしてよ!
 昔みたいに騒ごうよ!」


あたしは泣きそうな声でありがとうという。
桜からもらった日々草・・
花言葉は・・確か・・
そんなことを考えていると閉店アナウンスが流れる。
時計を見ると、21時45分。
あたしたちは、残っていた飲み物を飲み干し店を後にする。


今日、あたしは友達の温かみを改めて知った日になった。



________________ END _________











BGM * Best Friend ・ 西野カナ





~~ あとがき ~~

私も卒業から7年近く。
社会人となり疎遠になった友達がいます。
連絡も繋がらない。会いたくても会えない友達。

故郷を離れ、稼ぐためだけの毎日。
だけど、一人だけ故郷にいる友達。
会いたくても会えない日々。

親や兄弟のいないあたしは帰る場所もないと思っていたが、
故郷にいる友達が唯一・・今は帰る場所なのかも知れない。



☆日々草☆

花言葉):友情・楽しい思い出

誕生日):5/25