映画『秒速5センチメートル』を観ました(ネタバレ含む) | ルビー グリーン

ルビー グリーン

ルビーグリーンとは植物が青々したり、紅葉して赤くなる姿のこと。日々のこと のんびり 気ままに綴ります。

新海誠の映画『秒速5センチメートル』を観て来ました!





サービスデーもあって客入りはまずまず。

大人もいましたが放課後の高校生がたくさん来ていました。

高校生に囲まれての鑑賞となりました。


私は原作もアニメも観ていません。

初めての秒速5センチメートル。


内容は小学生時代からの初恋を30歳まで熟成させた主人公(男性)の物語。


感性の柔らかい10代の頃の回想シーンは五感に働きかける様な映像になっており、

主人公の中でどんどん想いを強くし、“初恋”がストイックに練り上げられていく感じが印象的でした。


大人になった初恋の女性が山崎まさよしの『月とキャベツ』の感想を

職場の人と話すシーンがあるのですがその受け答えから彼女が見かけによらず

感情に流されない理性的な女性であることが映画の前半で示されわかってはいたのだけれど。。。


主人公の男性は最後に別れた中学生のあの日で時間が止まってしまっていて、

一方、初恋の相手の女性は時間が止まっておらずあの日をさかいに思い出に昇華して

初恋を自分の一部とし現実を生きてきた。


え、俺だけ?

それを長い時を掛けて受け入れるお話。


どんなに通じ合った瞬間があったとしても、お互いがある。

だから通じ合っている“いま”が双方の中で続いて無ければ

それは“いま”の中で片方の幻想になってしまうんですね。

繰り返される記憶の再現は物事をことさら美しくしてしまう。


少年の純情と大人な少女のリアル。決して嫌な女な訳ではない。

彼女もまた、初恋を大切に扱っているのです。

ただ現実に向き合い生きた。

最後の日、二人は結ばれたのかもしれないけれど彼女はエールを送り別れを告げています。

主人公は耳を塞ぎ、希望と幻想にすがってしまった。

なもんで観客は主人公の幻想の中に映画のはじめからラストまで一緒にいます。


2人は会わなくて良かったのです。

どうせ“いま”の彼女を主人公は見ることが出来なかったと思うので。

主人公の会いたかったのはあの少女です。

そんなコ、“いま”の世界のどこにもいない。

主人公の頭の中にしかいない。

それならアンタ、四六時中会っているだろうと。

でも、もうそれを手放したのだから

いつかどこかで会えるかもしれないですね。


私は映画館に入る時から席に着くまでの間、たまたま男子高校生の団体が前後にいて一緒に入館して

そして席の隣も前も男子高校生で、彼らに囲まれてこの映画を鑑賞したせいか、

物語の結末にゴルフクラブか何かで頭をバチコーン!と殴られるくらいの衝撃がありました。

観客同士、多少同調するじゃないですか。


夢から覚めて握りしめていたものを手離すまでに30歳まで掛かっちゃった!てへ。みたいな結末を

10代の少年たちと鑑賞するのは、なかなかな体験です。

少女時代の彼女、めちゃ可愛かったけど女ってそういうところ、あるよね。。。みたいな


少女時代のあの子が可愛く無ければ映画は成立しません。

主人公の時間を止め、彼の10代、20代をまるっと支配してしまうほどの圧倒的な可愛さ。

そして賢い。

会場の少年たちがあの少女に好感を持ったらあの映画は成功なんだと思います。


映画館を出てショッピングモールに散っていく男子高校生の背中を見て

なんだか泣けたというか、軽く傷つきました(笑)

しばらく元気じゃなくなった。

でも主人公はああいう形で恋愛を楽しんだんだよね!


役者さんも良かったと思うし、映像も綺麗だったし、

裏切られた感も含めて楽しみました。

拗らせた初恋の純情を堪能しました。


映画鑑賞は観客込み。

劇場に居合わせた全ての高校生たちに感謝。