最近続けて読んでいる、中島要さんの連作時代小説「着物始末暦」シリーズ。
主人公は古着の始末屋の余一。
着物の洗い、シミ抜きから、上絵描き、染め直し、刺繍と着物のことならなんでもこなす職人です。
京阪の悉皆屋みたいなもののようですが、全部一人でこなす職人というのが、ちょっと現実的には無理なんじゃないか?と思ったりしますが、とりあえずそこは気にしないでおきます。
ただ元通りにする、新品同様にする、というだけでなく、依頼主の真の願い(時には本人も自覚していないことも)や悩みを解決するような、そんな始末をしていきます、
それというのも余一の信条は「着物は人の思いのよりしろ」「女と着物は何度でも生き直せる」だから。
余一が着物にどんな始末をするのかも楽しみの一つ。
着物や和柄の色や柄に興味のある方、人情時代物の好きな方にはハマると思います。
ただ主要な登場人物がそれぞれちょっとこじらせてるので(特に親子関係)、そのへんがちょっとくどくて読みにくいとも思います。
巻を追うごとにだんだん「こじらせ」が解消していって脇の登場人物も魅力的になってきて、4巻からぐぐっと面白くなります。
私のイチオシは呉服太物問屋の若旦那、綾太郎。
古着の始末屋の余一とは対極の人間なはずが、ひょんなことから縁ができ、反発しながらも腕を認めて、、、という関係に。
金持ちの頼りないぼんぼんに見えて意外な漢気を発揮してくれます。
十巻完結です。