「渋谷心中」という小説を読んだ。

最近若者達の間で話題となっている「脳内小説」というジャンル、この本もその類のものらしい。登場人物は一人、その一人の登場人物が脳内で妄想した世界を文章にしたものを脳内小説というらしい。小説自体作家の脳内から生まれるものなのだからそれと何が違うのかと思ったが、架空の登場人物の妄想という設定にする事で、普通の小説ではあり得ない突飛な展開も「だって妄想だから」という事で許されてしまうのだそうだ。逆に無茶苦茶な展開にすればする程、高度な脳内小説として評価されるらしい。

「渋谷心中」は、2012年度「この脳内小説がすごい!」大賞に選ばれた作品で、本屋に大量に平積みされていた。

この小説で妄想を繰り広げている人物は織田直也16歳、話は直也が学校から帰りベッドの上に仰向けで横になった所から始まる。

妄想を始めた直也が最初に思い浮かべたのは温暖化が進み、灼熱地獄に陥った地球だった。服を着ていられないほどの暑さに、人々は羞恥心も忘れて裸で渋谷の街を歩いている。作物が育たない為食糧難に陥り、絶望した人々は次々に自ら命を絶っていった。直也も渋谷を彷徨いながら、最期の場所を探していたのたが、その時スクランブル交差点の大型ビジョンに総理大臣の姿が映し出された。

「今すぐスプーンを太陽に向けなさい。スプーンに反射された光は太陽の活動を抑える力があり、温暖化を防ぐことが出来ます」

直也はすぐさま靴下に入れていたに入れていたスプーンを太陽に向けた。その瞬間場面が変わり、直也は闘技場のど真ん中にいた。

「スプーン騎士世界大会決勝戦、日本代表織田直也VSカメルーン代表エムバリ!」

直也の目の前には巨大なスプーンを持った黒人が立っており、直也を睨みつけている。絶対に勝てない。そもそもスプーン騎士世界大会とは何だろう。温暖化は?総理が言っていたスプーンを太陽にかざすと云々はどうなった?何一つ答えが出ないので、とりあえず靴下に入れていた拳銃でカメルーン代表の男を撃ち殺した。すると客席から直也の母親が鬼の形相で駆け寄り、直也の頬を平手で打ち付けた。

その瞬間直也の体は母親の中に取り込まれてしまった。母親は完全体となり、人造人間を取り込んで完全体となったセルの元に戦いを挑みに行った、という所で上巻が終わった。

Amazonのレビューを見る限り、下巻は更にぶっ飛んだ内容になっているらしいので近々読んで見るつもりだ。




言わなくても分かると思いますが、渋谷心中という小説は実際には無く、あくまで僕の妄想です。



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