パリで生きるロザリー | ★★剣を持った青獅子★★

パリで生きるロザリー

黒い騎士を追っている途中、
負傷したところをパリのおかみさんに助けられるオスカル。


そこは偶然にも、ポリニャック家を飛び出したロザリーが厄介になっている場所だった。


久しぶりの再会に泣いて喜ぶロザリーと、
愛おしそうにその髪をなでるオスカル。



緊張感漂うシーンが続いた後の
ホッとする一コマ。

でも、この箸休めのような短いほのぼのシーンにもドラマがありました。



ここで、何度も見ているこのシーンでの素朴な疑問から。



オスカルにスープを運んでくるおばさんとロザリー。



おばさん
『はいっ!あつあつのスープ、いっちょあがり~』


ロザリー
『1番テーブルさん!お待ちかね!』


コント調でおでまし。


『今日はあいにくと実はないけど、心はたーっぷりと煮込んであるよ!』


『あらん!いつだって実なんて入ってないのにー!』


『それを言っちゃあ、身も蓋もなし!』

『スプーンはあり!』



アハハハハ!!!

と、笑い合う2人。








子供の頃、この2人の掛け合いの面白さが全く分からず、


『きっと大人になったらこの2人の言っている掛け合いの面白さや意味がわかるのだろう』


と、思っていました。



そして
大人になりましたが、
未だに面白さは解りません。


もう少し大人になれば、解る日が来るかもしれません。
また数年後に再び見てみることにします。










しかし、たとえ食べるものが無くても明るさを忘れないこの陽気なおばさんと、イキイキとしたロザリーには逞しさを感じます。


良いシーンです。


朝日に照らされたパリの町並みは美しく澄んでいます。
この町に、オスカルとの別れに涙を浮かべていたロザリーはもういません。


貧しいとはいえ、パリでの生活に馴染んで自分の居場所をやっと取り戻したロザリーは心穏やかに見えます。


育ての親を生みの親にひき殺された不幸な過去も、

実の妹も、実の姉も失った悲しみも

恋するようにして慕ったオスカルへの気持ちも


全てを自分の一部として認め
しっかりと地に足を付けて『今を生きている』という晴れやかな顔でオスカルに微笑みます。







ロザリーの家はパリ以外にもあるのだよ、

と、ロザリーの『居場所』を作ってあげるような発言をしたオスカルでしたが
むしろ、ロザリーに帰ってきて欲しかったのはオスカルの方だったかもしれません。






『毎日毎日がとっても楽しい!』


と、ロザリー。




『ロザリー、お前の使っていた部屋は何から何まで、まだそのままだ。
いつ戻っても良いようになっているよ』

オスカルはそう言います。


ああ、オスカル。

ロザリーがいつ帰っても良いように部屋を片付けていなかったの。


オスカルも、ロザリーがいた楽しかった日々をそのままの形で残しておきたかったのかもしれない、と思うとキュンとします。


『オスカルさまー、オスカルさまー!』


といつも涙を浮かべて自分を頼ってきたロザリーが自立した大人の女性になって、
今、オスカルの目の前で逞しく生きている。

オスカルも嬉しい反面、少し寂しい想いを感じたかもしれません。





そんな風にも解釈できる一方で
全く違う、オスカルの言葉に隠された彼女の『想い』にも気がつきます。




もしかしたら、
ロザリーの部屋がそのままになっている、

というのはオスカルの『優しい嘘』なのかもしれないと言うことです。



パリは食糧難なのであると言うことを初めて知るオスカル。



アニメオスカルは、原作のオスカルのようにおもむろに顔や態度にその驚きを表に出すことなく、ベルサイユに帰っていきます。



しかし、帰りの馬車の中で思い出すのは

『食べるものは具のないスープのみだ』

と何気なく話すロザリーの声。




貧しい環境の中で懸命に
市場で働いているのだという話を聞いているうちにロザリーのことが心配になり、
ジャルジェ家で再度引き取りたいと思ったのかな、と思いました。


ただ、
自分の生活をせっかく取り戻したロザリーを無理に連れ戻さないためにオスカルは言葉を選びます。


ロザリーを再びジャルジェ家に迎えるにあたってロザリーが気を遣って遠慮をしないように。




『ロザリー、お前の使っていた部屋は何から何までまだ、そのままだ。
いつ戻っても良いようになっているよ』




この言葉を言ったとき、


ロザリーはオスカルを見ているのにもかかわらずオスカルは真っ直ぐ自分の前を向いて話し続ける。





なんとなく、その様子が

『更に貧しくなるパリに大切な妹を1人置いておくのが心配だ』


と言う気持ちを、ロザリーに気を遣わせないようにしながら
あのセリフに隠して言ったのかもしれないなぁ、と思いました。



オスカルは優しい嘘が得意なので、
もしかしたら



『ロザリーの部屋がそのままになっている』



というのは真実ではなかったかもしれません。















フェルゼンへの恋心を諦め、
アンドレが自分に隠れてこそこそこ何かを始めた、
もしかしたら黒い騎士はアンドレなのかもしれない


と、そう思っていたオスカルは、
久しぶりに見たロザリーの笑顔に癒やされたことでしょう。


オスカルの言葉が真実だったのか、
優しい嘘だったのかは解りませんが


どちらにせよ、
オスカルがロザリーを大切に思って
再びジャルジェ家に引き取りたいと思った事には違いありません。


ロザリーがパリに残ると言ったことに
オスカルは少し哀しそうな、そして心配そうな顔をしましたが


この、貴族の暮らしに戻らずにパリでたくましく生きていくことにしたロザリー、私はこの設定、とてと好きです。