ドレス姿のオスカル ~そのメロディは決して奏でられることはなかった~
ドレス姿のオスカル。
とても美しいですが
初めての恋を諦めるために纏うドレスだなんて。
哀しすぎます。
オスカルは充分過ぎるくらい美しいのに
『女』としての自分に自信がないように見えます。
そりゃぁそうですよね。
男として育てられ、
男として生きてきたのだから。
自分の恋愛の事となると
1歩も2歩も下がり気味のオスカルです。
滅多に自分のことで涙を流すことがないオスカルも、フェルゼンへの届かぬ気持ちには、何度もその頬を濡らしていました。
この
25話『かた恋のメヌエット』は
画が美しいですね。
20話でも思いましたが、フェルゼンに恋するオスカルが出てくる回は画が特に美しい。(o^^o)ありがたいことです☆
名シーン、名ゼリフがまたまた
目白押しのこの25話ですが私が特に好きなシーンについてお話しさせて下さい。
この25話の冒頭はオスカルの銃の稽古シーンから始まります。
銃の稽古をするオスカルの姿は大変久しぶりです。ドゲメネとの決闘の時以来では無いでしょうか。
銃の稽古を終えて帰ろうとしたその時、
アメリカ戦争から帰還したフェルゼンが、あらわれました。
彼は真っ先にオスカルに会いに来たのです。
7年ぶりの再会に
オスカルは手厚くフェルゼンをもてなし、
アンドレと供にフェルゼンの帰還を祝います。
フェルゼンは
アントワネットにもちろん会いに行くだろう、
と思っていたオスカルでしたが、
アントワネットとの恋愛は
『終わって良かった恋だったのだ』
と、フェルゼンは言います。
王妃には会わずに帰るつもりなので
王妃に自分の帰還を伝えないで欲しいと言うフェルゼンにオスカルは驚きの表情を見せます。
フェルゼンの心に王妃がいないのであれば
『フェルゼンはこの世でたった1人、私が愛しても良いと思った人』
なのだと、フェルゼンに恋をする自分を初めて認めるオスカル。
そして、とても優しく穏やかな表情をみせました。
しかし
パリ市民が王妃を憎んでいるという事実を目の当たりにするとフェルゼンはいても立ってもいられなくなり、前言撤回。
愛する人を近くでお守りしたい、と
オスカルに告げます。
少しこわばったような顔つきでフェルゼンの言葉を聞いていたオスカルですが
寂しそうに、
そして、
これがフェルゼンという男だ。
とでも言うように瞳に暗い影を落としたまま頷きます。
オスカルが好きになったフェルゼンとは
大切に思う人の事を放ってはおけない
心優しき男なのでした。
その男は
叶うことの無い恋を7年もの長い月日を費やしてやっと思い出にしたところだったのに
なのに
その心の痛みを再び味わうことになろうとも、大切な人が不幸せな道に進まぬよう、自分を犠牲にしてでもその人を支えてゆこうとする男でした。
これこそが私の愛したフェルゼンなのだ。
頭では理解しているのに
胸が苦しい。
そんなオスカルの心情があちらこちらから
伝わってくるような『瞳』の表情が大変素晴らしかったです。
で、とても長くなりましたが
私が好きなのはここからなのです。
笑
銃の練習の時間だと、アンドレがオスカルの部屋のドアを叩きます。
すぐに行く
と、ベッドから起き上がるオスカル。
しかしオスカルはピアノに近づいていきます。
ピアノのふたを開け、
鍵盤を見つめ
ゆっくりと人差指で鍵盤に指をおろします。
しかし、オスカルが指で触れたその鍵盤は鳴ることはありませんでした。
そしてピアノの音の代わりに聞こえたのは
銃声なのでした。
オスカルの秘めた想いは美しいメロディを奏でるどころか
1音も鳴ることはありませんでした。
ここのワンシーンに
もう、どうしても痺れてしまいました。
なんて切ない表現をぶち込んでくるのだ!!!
と、悶えながら何度も巻き戻しして見てしまいました。
笑
大人になってから見ると、オスカルの行動一つ一つに微妙な心理描写が隠されていることに気がつき、今回も改めて唸りながらアニメに見入ってしまいました。(o^^o)
そして、オスカルの鳴らすことの出来なかったピアノのシーンの後、間髪いれずに鳴る銃声。
銃の稽古シーンです。
このお話は銃の稽古をするオスカルの画から始まりますが
鳴らないピアノの鍵盤をオスカルがそっと押そうとするシーンの後に
再び銃の稽古シーンが入ることで
あの、一瞬炎を灯したオスカルの恋心は
まるで無かったモノだったかのようにも見えます。
オスカルの片思いは
フェルゼンが帰ってくる前の状況と
結局なにも変わらないままだ
そう訴えてくるような演出に見えるのです。
女性的なイメージを想像させるピアノと
男性的なイメージの銃。
オスカルはピアノではなく銃を鳴らしました。
そしてオスカルの切ない乙女心を打ち砕くかのようにしてその音は大空に鳴り響きます。
この後いつものように淡々とピアノを弾くオスカルがいますね。
だいたいオスカルが無心でピアノを弾いているときはモヤモヤしたものを抱えているときです。
アンドレにもそれは分かっています。
オスカルの心を乱すのは何者なのか。
もう7年も前から知っています。
それがフェルゼン伯爵であるということを。
オスカルの馬を洗うアンドレ。
オスカルの部屋をじっと見つめながら
途切れることなく奏でられるピアノの旋律を聞き、ぎゅっーっと雑巾を握りしめます。
これも素晴らしいですね!!!
真顔のアンドレとは対照的なその心の内を表しているかのような演出です。
顔にも言葉にも、はっきりとは出しませんが
アンドレは溢れそうになる複雑な気持ちをいつもぐっと我慢して人知れず耐えているのだ、
この短いシーンには、そんなメッセージが込められているようで
ノックアウトです(o^^o)
そして、アンドレがオスカルの事を誰よりも解っていたって
フェルゼンと一緒に酒を飲み交わすくらい親しい仲なのだとしても
フェルゼンは大貴族
アンドレは貴族に雇われている『馬蹄』に過ぎないのだ
というような事にもふと冷静に気づかせてくるような
『オスカルの馬を洗うアンドレ』の画の威力。
すごいです。。。。
この後の回から
アンドレが勉強会に参加し始めます。
そこには『俺は貴族ではない』ことを、
今までよりも、強く意識するようになる自立したアンドレが描かれます。
オスカルの知らないアンドレの姿です。
自らのアイデンティティに向き合っていくアンドレが今後アニメ独自の展開で描かれていくことになるのも、とても興味深いです。
もう、このブログには写真が貼れないようなのでまた改めて語らせて下さい。
最後に
オスカルが弾こうとしていた鍵盤。
『レ』ですね。
『レ』はレモンの『レ~♪』
今回は音が鳴りませんでしたが
レモンの『レ~♪』の出番はまだ暫く後ですものね。
(この為だけに1つ画像の余裕を残しておくという、笑 どうしようもないことに努力をしてしまいました 笑)