ダンスパフォーマンスグループ s**t kingz のショウジさん、オグリさんが出演の舞台

「ある都市の死」を12/9に観に行った。

 

2年半くらい前だったか、たまたま観ていた音楽番組にs**t kingzさんが出ていて

踊る4人のメンバーの皆さんの動きや表情、表現などが

パントマイムのような、お芝居のような感じがして

ダンサーの枠を軽く飛び越えているような

『表現者』という言葉がピタリとあてはまるような・・・

とにかく

「なんだ、この人たちはーー!!!」

と、心を鷲掴みにされた。

 

かつて、パントマイムをメインとした

表現者の端くれだったワタクシでありますが

もう、ね、

好きな世界観

やりたかった世界観

出逢いたかった世界観

が、いーーーーーっぱい詰まっている

そういう表現を体現しているダンスチームさんで

一目でファンになってしまい

今の言葉でいうならば「推し活」の沼に。

 

前置き長い(苦笑)

 

 

で、舞台「ある都市の死」の話。

 

この舞台は、映画「戦場のピアニスト」の主人公として知られている

ポーランドのピアニスト ウワディスワフ・シュピルマンと

彼の息子クリストファーのお話。

 

クリストファーが子どもの頃に屋根裏で見つけた一冊の本から物語は始まる。

その本は、父がかつて、戦禍を生き抜いた記憶を綴ったものだった。

 

実話の題材を、s**t kingz のショウジさん、オグリさん

そして、世界的ピアニストの小曽根 真さんの3人が体現していく舞台。

 

始まる前。

舞台には、中央にピアノ。雑然と配置された家具などが並び

開演を待つ客席からは、当時のワルシャワの街の中の一つの部屋を感じる舞台セットが見えた。

 

ピアニスト小曽根さんが静かに舞台上に現れピアノを奏で始める。

 

もう、その一節の音色で、一気に心を掴まれてしまって

切ない、悲しい、どうなるの、というような何とも言えない感情がワーッと沸いてきて涙が。

そのまま、物語の中へと心が入っていった。

 

物語が進むにつれて

私は「ショウジさん」「オグリさん」ということをいつのまにか忘れていて

それぞれが体現されている人物(役柄)の感情、想い、境遇に

私の感情も揺さぶらていった。

 

戦争によって変わっていく街、人、状況。。。

3人の演者さんの表情、身体から出ている感情、エネルギー。。。

魂がこもった表現の中で客席にいる私は

変わり果ててしまったワルシャワの街の一部のような気持ちになったり

ワルシャワ市民のような気持ちになったり

シュピルマンの感情になったり。

シュピルマンを助けようとする人たちの気持ちになったり。。。

 

切なさ、怒り、悲しみ、辛さ、絶望、孤独、生きたい、など

たくさんの思いが、舞台とともに溢れ、あっという間の時間だった。

 

物凄いエネルギーがこめられた舞台。

かなりの覚悟と想いを持って挑まれているのだろうな。

 

テーマとしてはとても重いものではあるから。

しかも、実話。

これを体現することは、心も身体もかなりの覚悟がなければ

舞台上で体現して生き抜けない。

 

今、この現代にも同じ空の下

戦争が起きている国がある。

 

もう、本当に、なんでなんだろう。

 

明治生まれだった亡き祖母が、一度だけ、戦争の話をしてくれたことがある。

それは、私が二十歳になった頃で、2つの話をしてくれた。

 

一つ目は、祖母は私の父を防空壕で産んだのだそうだ。

 

凄くないか。

防空壕で出産するのだよ。

母体も、赤ちゃんも、どちらの命も、もしかしたら、がある状況だよ。

 

今、私が、この世に生きて

祖母が父を産んだ年齢をとうに超えた年齢で

「s**t kingzを推し活!」とか言っていられることは

当たり前なことではないのだ。

 

祖母の話、二つ目は

祖母の末弟が特攻隊だったこと。

 

ある日、祖母の嫁ぎ先に末弟がきて

突然来たから、その時に集められる食材でご飯を作って食べさせたそうで。

後日、祖母が家事をしていると

家の上から飛行機の音が聞こえて、庭に出ると

一機の戦闘機が、家の上を旋回し、飛びたっていったと。

 

もちろん、パイロットの顔など祖母からは見えるはずもなかったそうで

けれど、この前の突然の来宅と、旋回する戦闘機から

祖母は、この戦闘機は末弟が操縦している

もう会えないのだ

と思ったそう。

 

涙目ではあっても、淡々と話す祖母の姿が印象的だった。

 

この話を聞いてからもう何十年も経つけれど

命のこと、生きることを思うとき

私の根っこにある想いの一つに、この話もある。

 

どうか、戦うこと、争うことで

自分のアイデンティティを保つという方法が

この世から無くなってくれますように。