好きな・・・シリーズ
今回は好きな人(言葉)
タイトルの『一日一生」は
現代の生き仏と称されている、
僧侶 酒井雄哉さんの本のタイトル。
酒井さんは、天台宗の難行と言われる「千日回峰行」を
2回満行された方で大阿闍梨と呼ばれています。
千日回峰行とは、本の解説を読むと。。。
約7年間かけて比叡山中を1000日間、回峰巡拝するなどの修行法のこと。
初年から3年は深夜から朝にかけて比叡山中の二百数十箇所を巡拝しながら、
一日30~40キロの道程を毎年100日間歩き、
4、5年目は毎年200日、計700日の回峰をする。
700日の回峰行を終えたら、「堂入り」と言われる行を行うそうで、
これは、不動堂に9日間こもり、断食、断水、不眠、不臥で不動明王の真言を10万回唱えるもの。
6年目は一日に歩く行程が60キロ。
最終年の前半100日は比叡山中と京都市中85キロを歩き、
後半100日は比叡山中30~40キロを歩く。
白装束に草履履き、死出紐を肩にかけ、宝剣を腰にした姿。
行の過酷さに満行出来ぬときは(挫折したら)自害するという覚悟のいでたちなのだそうです。
3年ほど前に、とある音楽のイベントを見に行った際に
偶然にも酒井さんがゲスト出演されていました。
酒井さんが会場に入って来られる前に紹介VTRがスクリーンに映し出され、
(そのVTRは、昔、テレビで放映されたドキュメンタリー映像でした)
始めは何となく見ていたのですが、だんだんとその行の凄さと
行を行なっている酒井さんの淡々とした姿に引き込まれてしまい・・・
で、その後に酒井さんが会場に入ってこられたんですが、
なんとも、、、
千日回峰行を2度も満行された方とは思えないほどの好々爺なお姿。
「ホントにこの人が、あの荒行を2度もされた人???」
と思うほどに、穏やかな表情と雰囲気を持った方でした。
会が進み、司会者が千日回峰行の感想を聞いたところ、
酒井さんは即答で
『千日回峰行をやって得たものは何も無い。今、自分がここにあるだけ』
深い・・・
その深さに、当時、自分の人生において一番の苦境に立たされていた私は愕然としました。
そして、もう一つ、酒井さんの言葉で耳に残ったことは、
『物事を深く考えるのは意味が無い』
このイベントで、初めて酒井さんという方の存在を知ってしばらくして、
偶然にも酒井さんの本を目にし、私の大切な本の一冊となりました。
仏の道におられる酒井さんですが、その著書 『一日一生』 では
その波乱万丈な人生を淡々と綴ってあります。
『物事を深く考えるのは意味が無い』
色々な体験をし、
様々な思いを巡り、
そして仏の道で生きる酒井さんから出たこの言葉は
私にとって、とても心にしみる言葉の一つです。