どうやってもつらい時
自分が歩いている道は本当に正しいのかと迷った時、
自分の信じていることが覆されてくじけてしまいそうな時、
理不尽な出来事に直面した時
そんな時、必ず「助けて」って真っ先に思いだす人。
もうずっとずっと前のことだけど、
いつもそばにいてくれた人がいた。
「大丈夫」って言ってくれる声が好きで。
頭をなでてくれる手が好きで。
子供みたいにくしゃって笑う顔が好きで。
今で言う『ツンデレ』な人だったけど、
2人きりの時だけは私をとことん甘やかしてくれた。
「つらいことがあった時、ちょっとでも嬉しいことがあった時、どっちの時も連絡しておいで」
そう言って、折れてしまいそうだった私の心を支えてくれた。
一緒に悩んだり考えたり喜んだりしてくれた。
私が高熱を出した夜、
仕事で疲れてるはずなのに
「困った時はお互いさま」なんて電話口で明るい声で言って、
仕事帰りの真夜中、私の好きなものをたくさん買って持って来てくれたことがあった。
やけになって飲みまくって酔っぱらい、
ちゃんと歩けなくなってしまったみっともない私を怒ることもなく
「いろいろしんどかったんやな」って
家まで送り届けてくれたりもした。
でも、優しいだけではなく
時に厳しく諭されることもあって、
そのたび「強くなれ」と背中を押して勇気をくれた。
私の手をとって起こすのではなく、
私が自分自身で起きられるよう手助けをしてくれた。
次々とやってくる困難をうまく消化できずにボロボロになっていく私を見かねたのか
「もっと自分勝手になっていいと思う」
「周りを見すぎて自分を見失うな」
そう言われて
このまんまじゃダメになるぞ、と言われてるんだと感じた。
やっと叶えた、夢だった仕事を嫌いになってしまうかもしれない。
わけのわからない、全く必要のない、様々な感情に押しつぶされて
自分が自分でなくなってしまうと思った。
それからひたすらがむしゃらにがんばって、しばらく経った頃。
状況が目に見えて変わってきた。
全ての歯車がうまくかみ合ったような、そんな感覚。
日々、充実していくのを実感できた。
がんばってたら見てくれている人は必ずいる。
そう思えた。
そんな私の顔を見た彼は
「ずいぶん強くなったな。やっと『らしく』なった。それでいいと思うで」って笑ってくれた。
「いいところも悪いところも全部ひっくるめて自分なんやから」と。
「よくがんばって乗り越えたな」と褒めてくれた。
ものすごく嬉しかった。
その頃
私には長年付き合ってる彼氏がいた。
彼にもずっと片想いしてるという女の子がいた。
それなのに、
彼との2日に1度くらいのメール、
夜中の長電話、
2ヶ月に1度くらいのデート、お泊り。
全て彼氏には内緒の危ういもの。
ダメなことだと頭ではわかってた。
だけどどうしても離れることができなくて。
はたから見たら、とんでもない常識なしの2人だったと思う。
この頃の私はホントに弱くて、甘ったれで。
彼がいない生活なんて考えられなくて。
頼りきっていた。
それなら彼氏と別れてこの彼と…ということも
もしかしたらできていたのかもしれない。
でもお互いそれを口にすることは一度もなかった。
あえてしなかった…のかもしれない。
逃げ道を作っていたんだと思う。
傷つかないためにずるい方法を選んでしまっていたのだと。
本当に自己中心的だったと思う。
ただ、ただ、友達以上の関係。
そんな生活が2年くらい続いた。
だけど、
彼の転勤で
微妙で曖昧なその関係は、少しずつ途切れ途切れになっていった。
なかなか会うことも話すこともできなくなって
数ヵ月後にはお互い連絡することもほとんどなくなっていた。
言い換えれば、
それくらいあやふやで先の見えない関係だったんだということ。
何の約束もない、お互いの本当の気持ちさえ知らない。
それでもやっぱり会いたくて、ひとことでもいいから声が聞きたくて、
携帯電話を握りしめていた日もあったけど
…押せなかった。
過ぎていった時間を埋める勇気はなかった。
そのまま何のきっかけもないまま時が過ぎ、
誰にも相談すらできず、
抜け殻のようになってしまった私は結局
何年も裏切り続けた彼氏とも距離を置いた末に別れた。
私はどこまでも身勝手で最低な人間だったと思う。
自業自得。
それから数年経ったある日。
彼が突然くれた、本当に最後の私への連絡は、私の結婚式直前の夜。
「幸せになれよ」
こんなひとことだけのメールだった。
私の結婚話をいったいどこから知ったのだろうと思ったけど、
余計なことは文章にしない彼らしいなぁ…と
泣き笑いしながら
まるでドラマみたいなその短い文章を何度も何度もくりかえし読んだ。
どう返信すればいいか、言葉が出ずに何の返事も返せなかった。
きっと彼なら気持ちわかってくれるはず…そう勝手に思い込んで。
さんざん迷ったり泣いたりしたけど、
今の私があるのも
今の仕事を続けていられるのも、
間違いなくあの時、彼がいてくれたから。
励ましてくれた言葉の数々を今でもしっかりはっきり覚えてる。
私を周りの誰とも比べず、噂を全く信じず、自分が直接見たこと聞いたことを信じる人だった。
その後、
彼が転勤先の同僚と結婚したと聞いた。
人に自慢できるような誇れる関係ではなかったけれど
それでも…彼に出会えたことに感謝。
今も心のどこか片隅にいてくれて、支えてくれてることにありがとう。
毎日楽しいことや嬉しいことばかりならいいけれど、
やっぱり時折くやしい思いをすることや腹の立つことだってある。
でも、
できる限り自分の気持ちに素直に正直に、
人に迷惑かけない程度の自分勝手さで生きていきたいと今は思う。
1度きりの自分の人生なんだから。
後悔しないように。
あの頃から10年以上たつけど、
あの時の私より私らしくなれてるかな。強くなれてるかな。だといいな。
たぶん喜んでくれるはず。
今日、12月5日 お誕生日おめでとう。
今、幸せですか?
幸せでいてください。
私も幸せにやっています。
ずっと誰にも話せなかった
これが最初で最後の思い出話。
また心の奥にこっそりとしまっておきます。
