イギリスの自動車輸入に関するスレ | YMR Global Motors 「欧州モータースポーツ、欧州⇔世界の自動車輸出入」活動記

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元ラリードライバーの車屋社長のイギリス、ヨーロッパでの日々の仕事、活動などなど。ビジネス、自動車情報や、自動車の輸出、並行輸入事、モータースポーツ(特にラリー)の話題を中心としたブログです。

 前のプログでも、1990年代の車が多いか?と書きました。一つはイギリスで生産されていない、スポーツカーが多いこと。日本車は性能がいいですし、ゆえにマニアが多いこと。(ないものを欲しがるマニアの性癖もあり)もう一つは、やっぱりイギリスの自動車輸入時の規制が関わっています。


 イギリスでは、自動車が10年落ち以前と9年落ち以降では、輸入する時の扱いが大きく違います。


 まず、日本から輸入するに当たって、パーソナルインポートと、そうでないもの(ビジネス理由など)の二種類があります。


 パーソナルインポートとは、販売目的がなく、引越し目的の輸入。ただ、それには、日本でその車を6ヶ月以上所持していることが条件。日本からイギリスに輸入する時、車体価格、船賃、日本での陸送費の合計の約30パーセントの輸入税がかかるが、このパーソナルインポートの場合、それが免除されます。

ただ、イギリスで通関した後、1年は車を売ることが出来なくなりますが。


 そうでもない場合は、輸入税がかかる。でも輸入して即販売出来る。


 さて、もう一つ、重要な言葉がSVA(Single Vehicle Approval)とESVA(Enhansed Single Vehicle Approval)。EU圏外から来た、輸入車がイギリスで登録するのに、この試験を受けなければならないのでが・・・・これが厄介なのですね。かなり厳しいです。輸入業者はこれに泣かされるのです。


さて、普通のSVAとESVAですが・・・・どちらもまず必要なのが


1・マイルスピードメーターにすること。

2・リアフォグランプを取り付けること。

3・燃料給油口にリストリクターをつけること。


です。


 SVAとESVAの違いは?ESVAはSVAより厳しいということ。SVAは若干の改造はOK。(改造の種類にもよりますが)、ESVAはほぼ完全にドノーマルにしなければならないほど厳しいです。ESVAを受けるに当たって曲者がモデルレポートなるもの。これを発行しなければならないのですが、まず、余計な出費が発生する。そして、何よりもモデルレポートが存在しない車種は、もう大変・・・・・。送り戻した方がいいかも?


 さて、次は、9年以降の車と10年落ち以前の輸入について。


 まず、10年落ちは・・・パーソナルインポートであろうとなかろうと、SVAを受ける必要なし。もちろんESVAもなし。そのまま、簡単なMOT(イギリスの車検。日本より甘いです)でOK。


 9年落ち以降はどうか?


 パーソナルインポートの場合。

 普通のSVAを受けることになる。モデルレポートは要らないので、あまり酷い改造してなければOK。(でもSVAはややっこしいですけど。)


 そうでない場合。

 ESVAのなります。まず、大方のスポーツカーは改造されていたりしますが、もう大変ですね。がんばってドノーマルに戻さないと・・・


以上の理由から、基本的に自動車輸入業者たちは、10年落ち以前を狙って、日本から車を輸入します。このSVAなるものがいらないのですから。それに今からの10年落ちのあたりって・・・・熱い日本車が多いですからね。


 一応、名目上は、その車が環境上、安全性がヨーロッパの規定に順じているかどうかをチェックするものですが、SVA、ESVAは、食料品、衣料品、電気製品などでいう、税関障壁みたいなものと考えてよろしいのではないかと思います。要するに・・・・国外から、車が入ってくることにより、国内の自動車マーケットが圧迫される、それで、なるべく外から来た物にお金を使わせる。出来れば国内に入れるのを諦めてもらおうと・・・って感じですね。


 それゆえ、10年落ち以前の車は、古くてマーケットにはあまり干渉しないと言う理由で、簡単に入れちゃうって感じですね。


 数年前、パーソナルインポートで三菱ミラージュのラリー車を入れたことがあります。その時のSVA奮闘記、もう一人、元2WDの全日本ラリーチャンピオンの吉井さんがラリーウェールズGBに使うため、入れたシビックのラリーカーのSVA奮闘記のお話しを後日できればと思っております。