●3インチのチーフ

 

 3インチのチーフ。コイツは好みが分かれる1挺だ。同じチーフでも2インチはホルスターに入れずにポケットやバッグの中に突っ込んでおいても邪魔にはならないが、3インチになると、妙に嵩張るような感じがしてホルスターが欲しくなる。

 

 かといって、3インチは欠点ばかりを抱えているわけではない。バレルが伸びたことでエジェクターロッドが長くなり、排莢の確実性が増す。さらに、フロントサイトとリアサイトの距離が伸びたことで、精密なサイティングができるようになる。

 

 しかし、冷静に考えてみれば、チーフは「至近距離で素早く弾を撃ち込む」というシチュエーションでの使用が多く、確実な排莢や精密なサイティングは必須の条件とは言い難い。不覚にも「中途半端」という言葉が浮かんでしまうが、小型のJフレームと3インチの組み合わせは絶妙で、視覚的にはバランスが取れていて美しい。実用性はともかく、趣味の対象としては実に魅力的なリボルバーである。

 

 

●5年ぶりの再販

 

 同じタナカのチーフでも2インチは年1~2回ほど再販されているが、3インチは極端に再販の頻度が低い。今回、久しぶりに再販されたが、実に5年ぶりだという。

 本音を言えば、モデルガンが欲しかったのだが、私の記憶では、3インチはver.3化はおろか、HW化もされていない。相当に人気が無いようで、ver.3化は望みが薄いと諦め、ガスガンを購入した。

 

 

 せっかくガスガンのチーフを買うのならリアルカートのマルシンの方がいいんじゃないか、と思われるかもしれないが、タナカのチーフには大きな特徴がある。バレルがストレートのブルバレルではなく、テーパードバレルなのだ。

 チーフの3インチにブルバレルが登場したのは1967年のことで、それ以前はテーパードバレルのみであった。1975年からはブルバレルが標準仕様となった。

 

 改めてタナカのチーフをよく見てみると、バレルピン付きのテーパードバレルに、標準タイプのサムピース、センターダイヤ無しのグリップという仕様になっている。

 サムピースが小判型のフラットタイプから標準タイプに変更されたのは1966年、バレルピンが廃止されたのは、それよりも年月が経った1982年だ。グリップからセンターダイヤが消えたのは1968年である。

 

 以上のことを踏まえると、タナカがモデルアップしたのは1968年~1975年に製造されたモデルということになるだろう。

 

 

 タナカのパッケージは相変わらず素晴らしい。箱だけでもコレクションしたくなるほど良く出来ている。

 

 

 2インチのモデルガンと並べてみる。2インチと3インチではフロントサイトやロッキングボルト周りの形状が微妙に異なる。

 

 

 続いては同じ3インチのM13と。Kフレームは決して大柄ではないが、チーフと並べると、やたらと大きく見える。

 

 

 バレル左側の刻印。

 

 

 フレームにはS&Wのモノグラムが入る。

 

 

 個体差かもしれいないが、バレル右側の刻印は彫りが浅くて細い。

 

 

 アドレス刻印はもちろん「MADE IN U.S.A.」だ。

 

 

 フロントサイトは2インチよりも僅かに高さがあり、全長も長い。このピシッと立った感じがカッコいいんだよな。

 

 

 リアサイトはフレームに溝を切ったフィクスドタイプ。

 

 

 一応、ハンマーノーズは再現されているが、ちょっと短め。モデルガンと比べてしまうと、迫力や臨場感に欠ける。うーん、やっぱりモデルガンで欲しいところ。

 

 

 トリガーはセレーションが入ったナロータイプ。いわゆる「チチバン」はしないものの、トリガーフィーリングは軽くてスムース。素晴らしいの一言に尽きる。

 

 

 グリップフレームはラウンドバットで、サービスサイズのプラグリップが付属する。ガスガンではスクエアバットのチーフが発売されたが、モデルガンでも出るのだろうか。

 

 

 別売のタナカ純正のグリップアダプターを装着。以前はシルバーのみであったが、リニューアルされてから黒もラインナップに加わった。

 

 

●実射

 

 実射性能は正直に申し上げてイマイチだ。パワー不足なのか、弾道が弧を描いて急降下し、狙いよりも下に着弾する。3mの距離で5発ずつ試射を行った際のベストグルーピングは24mmだった。数字だけを見れば、そんなに悪い結果のように思えないが、急降下する弾道のためで狙ったところに当てるためには相当の慣れが必要だろう。