現在の日本では「ベレッタM92Fという表記は誤りで、ベレッタ92Fが正確だ」というのが通説になっている。ベレッタのホームページを見てみると「Beretta 92FS」や「Beretta 92A1」となっていて、92シリーズ以外も「Beretta 84」「Beretta 21A Bobcat」というように表記されている。そういうわけで、ベレッタのピストルはモデルナンバーの前に「Model」などを付けないのが正確なようだ。

 

 

 しかし、不思議なことに「S&W M29」「S&W M39」などの表記は正確ではないのにもかかわらず、日本でこれを指摘する人は極めて少ない。S&Wのホームページでは「Model 29」「Model 39」となっており、洋書を見ても同様の表記がなされている。

 

 おそらく、日本の専門誌やトイガンメーカーが「Model」の省略した「Mod.」をさらに省略して「M」としたか、あるいは米軍が制式採用したものに付ける「M」と混同した結果、日本においてはモデルナンバーの前に「M」を付けるのが一般的になったと思われる。

 

 

 「ベレッタ92F」というのが正確な表記だとしても、これが意外と不便なのだ。例えば、92シリーズの元祖「ベレッタ92」が文中で何度も登場する場合、繰り返し「ベレッタ92」と表記するのはクドい。しかし、単に「92」と表記したのでは、銃のモデルナンバーであることが分かりづらい。やはり、数字の前には、それがモデルナンバーであることを示すものがあったほうが良い。

 

 ここで、ベレッタのスライドに目を向けてみると、「MOD.92SB」と書かれている(写真はスズキのモデルガン)。92シリーズ以外ではフレームなどの別の場所に刻印されている場合もあるが、それらも「MOD.~」となっている。このような刻印が打たれている以上、モデルナンバーの前に「Model」や「MOD.」を付けることは完全な誤りというわけではなさそうだ。事実、一部の洋書では「Model 92FS」という表記が見られる。

 

 少々強引だが、S&Wのリボルバーやオートの「Model」を省略し、「M」と表記することが日本では慣習的に認められているとするならば、それはベレッタにも当然適用できるのでないだろうか。

 

 というわけで、当ブログでは便宜を考慮し、今後は「ベレッタを含むピストルのモデルナンバーの前には“M”を付ける」ことにしようと思う。

 

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