●リボルバーのロールスロイス

 

 価格の高さや仕上げの美しさなどから「リボルバーのロールスロイス」と呼ばれるコルト パイソンが発売されたのは1955年のことだ。同じ年には、のちにM29となるS&W .44マグナムも発売された。

 

 当初は6インチのみの販売だったが、1960年に4インチ、1963年に2.5インチが追加された。1980年代になると、8インチバレルにリューポルドのピストルスコープを載せた「パイソンハンター」、8インチで.38spl専用の「パイソンターゲット」などが発売された。なお、3インチはコルトのカタログモデルではなく、販売代理店による特注モデルである。

 

 パイソンは1996年に製造終了となり、それ以降は少数限定での製造へと移行したものの、それも2006年頃に終了している(諸説あり)。しかし、2020年のショットショーで新型パイソンが発表され、パイソンは復活を果たした。ステンレスモデルのみで、かつてのようなロイヤルブルーのモデルはラインナップされていないが、現在も3、4.25、6インチの3種類が販売されている。

 

 

●待望の再販

 

 遂にタナカからパイソン2.5インチが再販された!本当は去年の11月に再販されるはずだったが、なぜかガスガンに変更となった。さまざまな事情があったのだと思うが、あれはショックだった。

 

 ともあれ、念願のパイソン2.5インチを手に入れることができた。短銃身でグリップにウエイトが入っていないこともあり、重量はカート無しで575gと軽さは否めないが、メカニズムの再現性が高く、アクションも超スムース。モデルガンとしての完成度は高い。

 

 

 パイソンには5種類の銃身長があるが、最も美しいと思うのは6インチだ。6インチは大柄なフレームと重厚なバレルのバランスが絶妙で迫力がありつつ洗練された印象を受ける。

 

 だからといって、2.5インチに魅力がないかというと、そういうわけではない。6インチが芸術品のような美しさを持っているとすれば、2.5インチは道具としての味わい深さを持っているといえる。

 

 切り詰められたバレルは一見すると、不格好に見えるが、道具としての実用性を高めるためにそのようになっているのである。その佇まいからはベテランの刑事に似合いそうな渋い雰囲気を感じるが、ベンチレーテッドリブや堅牢そうなリアサイトからはパイソンの華やかさの片鱗も感じることができる。

 

 

 お馴染みの発火カートが6発付いてくる。基本的に発火はさせず、ダミーカートを使って遊んでいるので、未使用の発火カートが50発近くあるが、何か活用する方法はないかしら…。

 

 

 パイソンの4インチと並べてみる。銃身長とグリップが変わると、雰囲気も大きく変わる。パイソンの4インチといったら、やはり「シティハンター」の冴羽獠か。「真夜中の刑事」のイヴ・モンタンも忘れちゃいけない。

 

 

 パイソンと同じ「花の55年組」のM29(.44マグナム)と。この2挺が揃うと、どうしても「ダーティハリー2」が思い出される。イーストウッドとデヴィッド・ソウルが射撃大会で対決するシーンは何度観ても痺れる。

 

 「ダーティハリー3」では相棒のムーア刑事がダイヤモンドバックを使う。「ブリット」と「ダーティハリー3」を観るたびにダイヤモンドバックのモデルガンが出たらなぁ…などと考えてしまうが、あの手の地味なリボルバーは売れないのだろうか。

 

 

 バレルには“PYTHON.357”の刻印が入る。パイソンとはニシキヘビのことで、当時の副社長が命名したらしい。

 

 

 タナカのパイソンは素晴らしいモデルガンだが、今回購入したものには1つだけ問題があった。それは「湯じわ」だ。写真では分かりづらいかもしれないが、フレーム全体に湯じわがあり、色ムラが生じている。

 

 

 特に深刻だったのがフレーム前方。色ムラがひどく、それが擦り傷にようになっていて、見るに堪えない状態だった。ガンブルー液で修正をし、写真のように何とか見ることができる状態にすることができたが、タナカでここまでひどい湯じわは初めてだった。

 

 通販で購入したので、他の個体と比較してわけではないが、ショップに問い合わせたところ、在庫すべてに同様の湯じわが見られるとのことだったので、今回のロットは全ての個体に湯じわが生じている可能性が高い。購入される場合は十分にご注意いただきたい。

 

 

 サイドプレートにはランパンコルトの刻印が入る。金属製で剛性は高い。ファイアリングピンがハンマーではなく、フレームに取り付けられているのがパイソンの特徴だ。

 

 

 フロントサイトはピン2本で固定されており、必要に応じて交換することができる。

 

 

 リアサイトはいかにも堅牢そうな雰囲気。ウィンテージとエレベーションの調節が可能。

 

 

 大きさ、肉厚ともに十分なシリンダー。シリンダーに装填しているのはC-Tec製のダミーカート。リムやプライマーの形状がリアルで雰囲気が大変良い。

 

 

 アクションは驚くほどスムース。パイソンのトリガーは、だんだんと重くなるという特徴があるが、トリガーの動き自体はスィーと滑るような感じで、ハンマー落ちた直後にトリガーがピタッと止まる。確かにダブルアクションのトリガープルはS&Wの方が軽いものの、パイソンのしっとりとしていて滑らかなアクションは何とも言えぬ魅力がある。

 

 

 これがパイソンのメカニズムだ。金属製のインナーシャーシが組み込まれており、剛性は高い。

 

 

 グリップはサービスタイプが付属する。形状は抜群に良いと思うが、握り心地はイマイチ。グリップアダプターをつけたり、オーバーサイズに変えたりすれば握り心地は改善されるだろうが、フォルムのバランスが崩れるので、このまま我慢しよう。