●.45ACPのリボルバー
1917年にアメリカが第1次世界大戦に参戦すると、深刻な小火器不足、特にピストル不足に直面した。M1911の生産にも限界があり、増大する需要を満たすことができなかったため、M1911と同じ.45ACPを使用するリボルバーを制式採用することとなった。
.45ACPはオート用に設計されたリムレス弾であったため、そのままリボルバーに使用することができなかった。そこで、S&W創業者の孫であるジェセフ・ウエッソンをはじめとする技術者たちが.45ACPを3発ずつ装着して、そのままシリンダーへ装填することができる「ハーフムーンクリップ」を開発し、リムレス弾をリボルバーで使用できるようにした。
M1917は、S&W製とコルト製の2種類があり、S&Wは.44ハンドエジェクターの2ndモデル、コルトはニューサービスをそれぞれ.45口径に変更したものであった。なお、S&W M1917は1917~1919年の間に約16万3千挺が製造され、第1次世界大戦や第2次世界大戦などで使用された。
1945年に第2次世界大戦が終戦となると、S&Wは余剰となったパーツを組み上げ、M1917を民間向けに「.45アーミー」の名で販売した。.45アーミーにはハンマーブロックが追加されており、その目印としてシリアルナンバーの頭に「S」の文字が付与された。また、グリップもチェッカータイプのサービスグリップに変更された。
1950年からは新たに製造したパーツを組み上げたコマーシャルモデルが「Model 1950」として販売され、仕様は.45アーミーと同一であった。1957年には「Model 22」のナンバーが与えられ、1966年頃に製造終了となった。
●3年ぶりに復活
かねてより再販を待ち望んでいたモデルガンが2022年6月に再販された。タナカのM1917 5.5インチである。5スクリューにシュラウドレスのテーパードバレルというクラシックな装いも大変に素晴らしいが、.45ACPをハーフムーンクリップを使って装填するというギミックを再現していることが最大の魅力ではないだろうか。
.45ACPを模した発火カートリッジ6発とハーフムーンクリップ2枚が付属する。カートリッジの全長は実物よりも僅かに小さい。
カートリッジをハーフムーンクリップに取り付けると、あら不思議。オート用のリムレス弾をリボルバーでも撃てるようになる。
3発ずつにまとまっているので、装填/排莢はスピードローダーのように素早く行うことができる。シリンダーが回ると「チャキリッ」とハーフムーンクリップが鳴くのも実に愉快だ。
ヨーク裏には雰囲気を台無しにする“MOD.29”の刻印が入っていた筈だが、今回のロットでは消えている。これは嬉しい。
バレル左側には“S&W. D.A.45”の刻印が入る。
バレル上部の刻印もしっかりと再現されている。
バレル下部には“MADE IN JAPAN”の刻印が入る。普段はエジェクターロッドで隠れる部分なので気にならない。
省力化を図った軍用モデルということで、刻印類は最低限。S&Wモノグラムもなければ、アドレスもないので、フレーム右側には寂しさが漂う。クラシックなリボルバーなので、サイドプレートを固定するスクリューは4本になっている。
クラシックなS&Wリボルバーの特徴であるトリガーガードスクリューも忘れずに再現。機能としてはシリンダーストップのスプリングを固定するためのもの(モデルガンでは省略)だが、これがあると全体の雰囲気が引き締まる気がする。トリガーガードをチラッと見たときにスクリューがあると、「おぉ!」となるのは私だけではない筈。
ヨーク裏の“MOD.29”の刻印が消えていたので、もしかしたら、ハンマーのコッキングポジションも改良されているのではないかと期待したが、これは相変わらずで変化なし。
フロントサイトはクラシックな半円型。
リアサイトはUノッチのフィクスドタイプ。ノッチが浅いこともあり、サイトピクチャーは良くない。
トリガーはナロータイプで、表面はスムース。シングルアクションは特に問題ないが、ダブルアクションはトリガープルが重い。メインスプリングを緩めても重い感じだったので、リバウンドスプリングが強いのかもしれない。
ハンマーブロックが開発される以前のメカニズムを忠実に再現している。インナーフレームがリアルではないという意見もあるが、CMCのS&W M19のようにグリップフレームがポキッと折れるくらいだったら、多少のリアルさを犠牲にしても頑丈な方が良い。
グリップはサービスグリップよりも小さいハンドエジェクタータイプで、とにかく握りづらいうえに、表面がスムースなので滑りやすいものの、デカいNフレームに小さいグリップというギャップが魅力的である。
グリップ底面にはランヤードリングが取り付けられ、支給番号が刻印されている。
Kフレームのミリポリと並べると、M1917の大きさが際立つ。フレームサイズこそ違うが、2挺ともにハンドエジェクターをルーツに持つということで、全体的なデザインがよく似ている。
S&Wが英軍に納入した.455口径のハンドエジェクターとM1917はバレル長や口径が異なるが、共に.44ハンドエジェクターをベースとしている。タナカでは英軍向けの.455口径のハンドエジェクターも「M1917」の名で販売されているが、.455口径のハンドエジェクターはM1917の先輩に当たるモデルで、英軍へは1915年に納入されているので、これを「M1917」と呼ぶのは正確ではない。
最後にちょっとお遊びを。タナカのKフレーム用グリップアダプター(ラバータイプ)を装着。Kフレーム用なので当然のことながら、フレームと微妙に合っていないが、意外にもガタなく取り付けができる。M1917にグリップアダプターを取り付けると、これを吊っていた昭和のお巡りさんはさぞかし重かっただろうと要らぬ心配をしたくなる。






















