コルト ローマンは、コルトが1969年に発売したMkⅢシリーズのダブルアクション・リボルバーです。MkⅢシリーズとは、中型サイズの“Jフレーム”を採用し、強度と安全性を向上させた製品群の名称で、ローマンの他にトルーパーやメトロポリタン、オフィシャルポリスなどがラインナップされていました。しかし、その人気はいまひとつで商業的には上手くいかなかったようです。その後、MkVシリーズでもローマンを発売しましたが、依然として影は薄く、短期間で生産終了となってしまいました。

 

 ローマンは、アメリカでの知名度、人気は低いですが、日本ではMGCのモデルガンが「西部警察」や「太陽にほえろ!」、「あぶない刑事」などの刑事ドラマに使用されたため、高い知名度と人気を誇っており、現在でも根強いファンがいます。

 

 

 今回ご紹介するのは「MGC コルト ローマン クラシック 2インチ HW」で、エジェクターロッド・シュラウドのない前期型をモデルアップしたものになります。このほかに、MGCからは4インチとエジェクター・シュラウドを装備した後期型の2インチが発売されていました。

 プラスチック製のモデルガンとしては、コクサイが4インチと後期型2インチを発売していましたが、MGCに比べると販売数が少ないようで、中古品もあまり見かけません。

 


 

 ローマンは.357マグナム・リボルバーということで、ブルバレルを採用しています。4インチ以上のブルバレルは迫力があり、全体的なバランスも悪くないのですが、2インチのブルバレルは何とも不格好です。

 

 

 フレームは全体的にボリュームがあり、力強さを感じさせますが、野暮ったい印象です。短いブルバレルとボリューミーなフレームの組み合わせは、スタイリッシュとは言い難いですが、この絶妙な“カッコ悪さ”が何とも魅力的なのです。

 MkⅢシリーズに採用されている“Jフレーム”は、S&WのJフレームよりも一回り大きく、Kフレームよりも僅かに小さいといった感じのサイズです。

 

 

 バレル左側の刻印はリアルなものになっています。ABSのローマンの刻印は“LAWMAN MKⅢ”となっていましたが、HW化された際に刻印がリアルなものに変更されたようです。私としては“LAWMAN MKⅢ”の刻印の方が「これぞMGCローマン!!」という感じがします。

 

 

 バレル右側の刻印もリアルです。

 

 

 サービスサイズのグリップが付属します。表面がツルツルと滑るため、グリッピングがしやすいとは言い難いと思います。グリップもHW製となっているため、重量増加に貢献しています。

 

 

 2インチのブルバレルが何ともカッコ悪いですが、それが良いんです!

 

 

 カート内発火ではなく、インサートが前撃針となっているため、インサートは大きく、非常に目立ちます。

 

 

 トリガーはセミワイドタイプ。シングルアクションのスムースですが、ダブルアクションのトリガープルは非常に重く、連射をすると指が痛くなってしまいます。

 

 

 MkⅢシリーズの特徴である“セフティ・コネクター”もしっかりと再現されています。ハンマーはセフティ・コネクターを介してファイアリングピンを叩くようになっており、セフティ・コネクターはトリガーを引いていないと上がってこないようになっています。ハンマーダウンの状態では、トリガーとファイアリングピンが直接触れておらず、またハンマーコックの状態でもトリガーを引かないと、ハンマーがファイアリングピンを叩くことができないため、安全性が高くなっています。

 

 

 カート内発火ではないため、カートリッジはシンプルな構造になっています。

 

 

 Dフレームのディテクティブスペシャルとは、大きさが一回り違いますが、同じ6連発ということもあり、S&WのJフレームとKフレームほどの差はありません。

 

 

 コルト ローマンは、比較的小型ながら.357マグナムを撃てる、ということ以外の特徴がない地味なリボルバーで、ルックスもカッコイイとは言い難いですが、さまざまなパーツが醸し出す“野暮ったさ”と“力強さ”が不思議な魅力を放つモデルです。私は今回ご紹介したモデルの他にABSのクラシックローマンとニューローマンも所有していますので、いずれはそちらもご紹介したいと思います。