胆大小心録 その149 | むかしのはなし

胆大小心録 その149

百四十九

菊は山路に咲いているが、それは日本に昔からあるものだ。
(仁明天皇が)承和期に、異種が渡来したのを、愛したという話をもって、
この時代に最初に菊が渡来したと言うのは不勉強な事だ。

山路の種(野菊)の香りも美しさも際立つのは、秋こそが第一だと思う。
きくと字音のままに読むのは、桓武天皇の御製(類聚国史)から始まった。
新撰字鏡にある、からよもぎという名はとても良い。
白と黄の菊を良いものとするのは、誰でも同じだろう。


菊の話です。
江戸時代に大ブームになった事で有名な菊ですが、
日本古来の菊は、いわゆる野菊と呼ばれるもので、
観賞用に栽培されている現在の菊は、
平安時代に中国から伝来したものだそうです。

類聚国史というのは、
日本の正史である六国史を再編集したものだそうです。
その中に桓武天皇が菊の歌を詠む話が出てきます。

新撰字鏡は平安時代の漢和辞典ですが、
からよもぎという名は新撰字鏡には出てこないそうです。
ほぼ同時期の和名類聚抄の方に記載があるそうなので、
秋成の記憶違いだと思われます。