胆大小心録 その147 | むかしのはなし

胆大小心録 その147

百四十七

カキツバタは菖蒲の同類で、水草の一品種である。
そもそも人がカキツバタと呼ぶ物は、
水に咲く花であるので、花あやめと呼ぶのだ。

カキツバタとは垣津花の意味だ。
垣津幡と万葉集に見えるのは、波と多と同じ読みで、
ハタ薄・花すすきと同じ類の読みである。

 かきつばた衣にすりつけもののふのきそふ狩する夏は来にけり
 (カキツバタを摺り付けた衣を着た武士たちが薬草狩りをする夏が来る)
とは、まさに五月五日の歌である。遅咲きの花は秋ごろに咲くものもある。

 弟咲に浅黄が咲いたかきつばた
と冗談を言った事もある。
菖蒲は水中で無くても咲くといって(カキツバタと)区別するのは、おかしい。
石菖蒲は、石について繁る。
元は同じ物の性質の違いからこういう相違が出来るのだ。
創造主の為した事なのに何処をもって定めるのか。

(現在カキツバタと呼ばれる花で)試しに染めてみたが、
染め色が赤くて面白くなく、
衣に刷ると(万葉集で)詠まれる水草は、
カキツバタ・アヤメ・ショウブの中の、
よく染め付く種類の事だろう。未だ試みてはいない。


杜若(カキツバタ)の話です。
ここからしばらくは花や生き物の話が続くようです。

弟咲(おとざき)は盛りを過ぎてから花が咲く事だそうで、
遅咲きと同じ意味と考えてよさそうです。
良い加減にすませる事を浅黄にやるという言い方をするそうで、
カキツバタの中央にある浅黄色にかけたという事らしいです。