胆大小心録 その137 | むかしのはなし

胆大小心録 その137

百三十七

芝居も芸事も、見物人が悪いせいで質が落ちたのだともいう。
能があまり衰えていないのは、思い入れを滅多にしないからか。
能にも大名人はいないのだ。

雅楽寮が衰えたのは何故だろう。
あまり思い入れをさせないからだともいう。


ごく短い芝居の話です。

まず見物人のせいで芝居が悪くなったという部分ですが、
原文では見物人ではなく見物となっています。
一応見物人と訳しましたが、
見物のシステム自体を言っているのかも知れません。

思い入れというのは、
歌舞伎などの用語で、演じる際に気持ちを込める事を言うそうです。
解説によると、役者の個性が発揮される部分であるそうで、
そこに注目が集まるそうです。

能は思い入れを使わずに、型通りに演ずるので、
質が落ちないそうです。
知識の無い自分にはその理屈がわかりません。

歌舞伎では思い入れにばかり評価が集まり、
他の部分が疎かになるのが原因という事でしょうかね。
それとも下手な思い入れをする役者が増えたという事でしょうか。
思い入れをさせない能は、
突出した人物が出ない代わりに均一的な質で提供できるという事でしょうね。

雅楽寮というのは皇室の元で雅楽を演奏したり、
演奏者の育成をする機関だそうで、
平安時代にはすでに衰え始めていたそうです。