胆大小心録 その81 | むかしのはなし

胆大小心録 その81

八十一

鶯は冬の終わりに鳴き始め、秋までも鳴き続けるもので、
流鶯を詩に作って、宛転低昂の時と詠うのは、
四月に姿が木に隠れ声だけが聞こえる時期の事である。

梅は冬に咲き始め、二月の水面に老いた姿を映しつつ散っていく。

梅花帳というものは、冬の寒さを避ける為に、
梅が咲く前から、散り始める二月までも紙帳の中に薫らせるのだ。
(帳の中に)寝床を入れて眠り、机を置いて書を読む。

また花瓶を隅々の柱にかけて、梅を挿し入れる。
好事家はこれを懸壁と呼ぶ。大体の場合金の瓶を使う。

他に歌があり、
 ふくむより散りはつるまでへしほどに梅のかたびら引きもせしかな
 (蕾の頃から散るまで梅花帳の中にいたので、ようやく帷子も引いて開けた)


歌枕としても有名な梅と鶯の話です。
流鶯とは鶯が流暢に鳴く事だそうです。
また宛転低昂(もしくは低昂宛転)は
よどみなく滑らかに、抑揚を持って鳴く事だそうです。

紙帳というのは紙でできた蚊帳のようなもので、
主に防寒用に使います。
その中に梅を入れる事を梅花帳と言うのだそうです。