胆大小心録 その66 | むかしのはなし

胆大小心録 その66

六十六

応挙とは度々会ったが、衣食住にこだわりの無い素晴らしい人だった。

月渓は常日頃から
「食物の味を理解しない者は、どんな芸でも上達しない」
と言っていたが、(月渓は)食べ物の選り好みが上手であった。

「つくしと豆腐が特に良い」。
そう言っていたが、腎虚で体が弱ってしまって、
久しぶりに会ったら、不如法の晒し者のようになっていた。


前回に引き続き応挙と月渓の話です。
不如法の晒し者とは、
戒律を犯した僧が、数日間市中に晒される刑罰の事を言っているそうです。
月渓は普段から僧服を着ていたそうで、
衰弱して動けない様子をうまく表現したわけですね。

ちなみに晒される僧には女犯の者が多かった事から、
腎虚を患った月渓にかけているそうです。