胆大小心録 その22 | むかしのはなし

胆大小心録 その22

二十二

翁(秋成)が京に引っ越した時に、
向かいに住む村瀬嘉右衛門という儒者が、
「京は不義の国だぞ。覚悟しなさい」
と言った。

それから十六年住んだが、一言付け加えて、不義で貧しい国だと思う。
二百年の治世(江戸幕府)が始まる時に、
富豪の家がたくさんあったけれども、
大阪と江戸に富が移ってしまったか。

人夫のような者でも家格を言って厳めしく振舞う。
貧と薄情の他にはなりようもない。

京の自然が美しいのはいいが、その他はけしからんと思って住んでいる。


割と有名な回です。
京都の人には聞き捨てならない文章ですな。
まあ昔の話ですから。

村瀬嘉右衛門(村瀬栲亭)は学者であり医者です。
秋成の茶道仲間だそうです。