池亭と方丈 | むかしのはなし

池亭と方丈

鴨長明が方丈記を書く際に手本にしたとされる慶滋保胤の「池亭記」。

平安中期に書かれたもので、方丈記と同じく隠棲文学と呼ばれるものだ。

読んでみると確かに方丈記と似ている。
世の流れや京の現況に始まり、
自分の状況説明やタイトルになる住居の話になる構成は
完全に方丈記と一致する。

ただ決定的に違うのはその住居の規模である。
長明がわずか方丈(約3m四方)の住いしか得られなかったのに対し、
保胤の池亭は貧しいながらも広大で、
敷地内に名前の通り美しい池を持ち
様々な樹木や小山、さらには書庫までも設置してある。

長明もおそらくはこのような庭園に住みたいと願っていただろうが
現実はご存知の通りである。

侘び住まいの良さもあるのだろうが、
彼の「みじかき」運に同情せざるを得ないところもある。