彼は其れを 愛だと云う
夕日が差す教室に二人きり、だなんて。
傍から聞けばなんて甘いシチュエーションなんだろうって。
そう思うかもしれないが、残念ながらそんなことは全くない。
なぜなら。
「なぁ」
「ん?なに、葵」
二人とも男だからだ。
ただ、別に好きで一緒にいるわけではない。
たまたま二人で日直だった。ただ、それだけで。
「お前、告白しないの?」
「・・・へ?」
彼――葵の行き成りの言葉に、思わずつまった。
そんな僕を見て察したのか、葵はくつくつと笑った。
「知ってるよ、誰を好きなのかってくらい。どんだけ一緒だったか」
「・・・そう、だな」
葵とは小学校からの幼馴染で。
まあ、そりゃあそんなに一緒にいればバレるか、と僕は溜め息をついた。
「・・・彼女に言えと?」
葵は質問には答えず、黒板を黙々と綺麗にしていく。
と、クリーナーに手をかけたところで振り返った。
「・・・俺は、似合ってると思うけど」
そう言って電源を入れ、黒板消しを綺麗にしていく。
大きな音が教室に響いた。
僕は一瞬言葉に詰まり、動揺を隠すためにシャーペンを握り、日誌に向かった。
「拓馬、」
「・・・ん?」
クリーナーをかけ終わった葵が電源を切った。
教室に静寂が広がる。
「別に、いんじゃない?」
「なにが?」
「何がって、告白が?」
「僕に、わざわざふられに行けと?」
「さぁ? 後は自分で考えるべき、だろ」
僕の言葉に軽く笑った葵は、花瓶を掴んで教室を出ていった。
葵を後ろ姿を見送った僕の小さく低く呟いた声は教室に響き渡った。
「・・・知らないよ、そんなの」
ただ想うだけはこんなにも難しい
(思ったより大きく響いたその声は、)
*****
というわけで。
お久しぶりな小説になってしまいましたけれども。
和葉&拓馬シリーズですねー。
時期的に言うと、二つのお話の間、ですかね。
っていうかこれ、時系列バラバラすぎですね笑
今度まとめでも作ろうかと。思っております。
多分作らないでしょうけど←
お題、冒頭共にいつものところから。
群青三メートル手前 様より!
いつも感謝感謝です^^*