ひとは ひとりでは生きていけないよ と


触れてくる手の温度が 嫌い






「……寒い」


「……だから言ったのに。僕のだけどマフラーする?」


「……いい」



 頑なに首を左右に振りながらも、寒いと己の腕をさする彼女。


 たまたま一緒になった帰り道。


 彼女も僕も部活があるけどまさか一緒になるとは思わなくて。


 思わず目を開いた僕と、ス、と目を細めた彼女。相変わらずの無表情に、僕は思わず笑った。


 なんとなくで一緒に帰ることになって、しばらく歩いてから僕は気付いた。


 真っ赤なコートに白いブーツ。その他の防寒具は一切なし。


 マフラーを使うかと問うたが、いいと断られた。仕方がなくそのまま歩く。


 その時視界を遮るものに気付いて、あっと声をあげる。


 雪だった。道理で寒いはずだ。



「……拓真」


「ん?」


「……目眩、する」


「えっ!? …っ、和葉!!」



 ふらり、と足元のバランスを崩した和葉。あわてて僕は手を伸ばす。


 ギリギリで間に合った、彼女が倒れずにすんだ。


 立ったままだと和葉がつらそうだったので、その場にしゃがみこむ。


 和葉を膝の上に横抱きにして、その顔を覗き込んだ。



「……和葉?」


「……」



 はぁっと白い息が彼女の口からこぼれる。やっぱり寒そうだ。


 僕は自分の首からマフラーをとると、彼女の首にまいた。



「っ、だからいらないって……!!」


「倒れてから言われても全く説得力ないよ」


「……だって、それだと拓真が寒い、じゃない……」



 わずかに目をそらして呟く彼女。


 ……嗚呼、そういうことか。



「僕はいいから。 和葉がまいてて?」


「でも…!!」


「僕がそうしたいの。 ……駄目?」


「っ、」



 目元をわずかに赤く染めた彼女は、ス、と目をそらした。



「もう大丈夫だから。 ……おろして」


「駄目」


「っ、おろして!!」



 ぐ、と怖い顔をして見せる和葉。でも、全然怖くなくて。


 僕は仕方がないな、とため息をついた。



「はい。 でも危ないから手は繋いで?」


「……」



 わずかに戸惑っているような彼女の右手を無理やり繋ぐ。


 恥ずかしいのか若干の抵抗をみせたものの、そのまま大人しく繋がれている右手。

 それをチラリと見て、僕は呟いた。



「……帰ろうか、和葉」


「……うん」




振り払われるはずだった
(だけど振り払われなかったその訳は、)






*****

というわけで、お題SSでした。


私には珍しく甘め……かな。物凄く、えぇ、激しく季節外れだけれども笑


因みに、拓真と和葉は付き合ってません。ただの幼馴染です。

ほらよくあるじゃないですか、幼馴染だけど中学校とか高校で気まずくなるっていう。

あれです、あれ。でも今回は振り払われなかった。


無口な女の子と、控えめな僕っ子男の子が書きたかったから満足。


今度続き書きたいな、この二人。書いてて楽しい。


っていうか、リアルに想像出来る。学校にいそう笑




最後に、お題提供サイト様…群青三メートル手前 様、ありがとうございました!


ありがとうございました!