今回は、前回に続き
手関節の話をします

手をついて、手関節の痛みがある場合
「橈骨遠位端骨折を疑う」といいましたが
今回の、舟状骨骨折も疑わなければなりません!


整形外科・スポーツ整形の画像診断・読影を学び、要点をついた撮影法を考える


舟状骨は橈骨と接している骨で
手付いた時、力が加わりやすい部位に位置しています

ちなみに
舟状骨が骨折するには、95°以上の手関節を背屈必要があり
それ以下の角度では橈骨遠位端が骨折すると言われています


整形外科・スポーツ整形の画像診断・読影を学び、要点をついた撮影法を考える


舟状骨骨折は、通常の手関節撮影で見にくく
舟状骨撮影をしなければなりません
(最大背屈+最大尺屈撮影)

この図の舟状骨骨折は
受傷から時間がたって、偽関節となったものです

見逃されやすく、骨癒合がしにくい骨折
症状が手関節捻挫と思われやすいこと
通常の手関節撮影で舟状骨骨折は見にくいこと
などが理由となっている

この骨折は、
放置すると偽関節⇒手根不安定症⇒関節症へと進行する
偽関節は手術でも治りにくく
手の外科専門医でも苦労するということです
(日本一の舟状骨治療数をほこる医師も
偽関節の手術は難しいと言われていました)

手をついた患者で手関節に痛みがある場合で
舟状骨に圧痛がある場合は
しっかり舟状骨撮影をしなければなりません!!



整形外科・スポーツ整形の画像診断・読影を学び、要点をついた撮影法を考える


舟状骨は小さな骨ですが
骨折しやすい部位があります

また骨癒合がしにくい骨折といわれます
それは血流が関係しています
血流は遠位から近位にむかっています
骨折し血流が断たれることで
近位の骨片は
壊死を起こしてしまいます!

絶対早期発見し
偽関節や壊死をおこさないように
早期の治療開始が必須になります!


整形外科・スポーツ整形の画像診断・読影を学び、要点をついた撮影法を考える



当院では舟状骨撮影として
2方向撮影をおこなっています
舟状骨正面撮影(最大背屈+最大尺屈)
手関節回内45°撮影


手関節を痛がる患者は
舟状骨正面撮影(最大背屈+最大尺屈)
ができないことがよくあります
その時は、診療放射線技師が介助します

ポイントは
①撮影時痛いことをはっきり伝える
②検査の大切さを伝える(舟状骨骨折は見逃しやすいなど)
③撮影肢位の不良は骨折の見逃しにつながり
 患者に大きな不利益を与えることを念頭に気持ちを込めて
 撮影肢位をとる


この症例はX線画像にはっきりとした
骨折線はみられません



整形外科・スポーツ整形の画像診断・読影を学び、要点をついた撮影法を考える


MRI画像です
舟状骨に
T2*強調画像で高信号
T1強調画像で低信号
舟状骨骨折のMRI所見です

受傷直後はっきりしない骨折線は
MRI画像にて、明確に診断できます
早期診断にはMRI検査が有効と言われています!

舟状骨骨折は、1㎜以上骨皮質のずれは
手術と言われています

偽関節や骨壊死にならないよう
早期診断のために
舟状骨骨折を疑った舟状骨撮影をおこないましょう!


これで終わります
最後まで読んでいただきありがとうございました

感想お待ちしております