シカゴから帰国後、ずっと風邪を引いていた。いったん治りかけたと思ったら、再度38度台の熱が出た。観念して病院に行ったが、インフル陰性、レントゲン異常なし。結局ただの風邪だった。病院に行ってからさらに1週間。ようやくまともに食事ができるようになった。シカゴの風邪は恐ろしい。

そんなわけで、シカゴ劇場での観覧記録も書かないままでいた。記憶がかなり薄れてしまったが、後々のために多少は足跡を残しておこう。

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会場のChicago Theatreはキャパが3,600人との情報がある。NHKホール(3,800人)と同程度だ。外観といい、内装といい、(規模はともかく)「街一番の劇場」という雰囲気に満ちている。そんな場所でPerfumeが公演を行えることがなにより誇らしい。

座席は1階上手側の通路脇、前から15列目くらい。地元客の様子を見たかったので、わざと少し端のほうの席にした。振り返ると、サイドブロックを中心に後方は空席が広がっていて、ちょっと悲しい気分になる。2階席も入りはよくなかったようなので、全体で3割くらい空席だったのではあるまいか。

周囲の観客は地元民がほとんどのようだ。日本人はすぐ後ろの列に男性2人連れを確認できた程度。ただし、公演中の盛り上がり方を見ると、センターブロック前方から中ほどは日本からの遠征組が占拠していた模様だ。

オープニング映像が流れ始めてまもなく、会場から歓声が上がる。ステージ後方に控えるメンバーの姿がスクリーン越しに見えたのかと思ったら、映像中にメンバーの顔が1人ずつ大写しになる度に観客が反応しているのであった。その熱い思いに、早くも目から汗が…。

開演後も地元客の歓声が続く。アメリカ人はたぶん、1人1人の声が日本人よりおしなべて大きく、遠くまでよく通る。日本語と英語の発声法の違いが、ライブ会場の歓声にも反映されているように思える。

観客が盛り上がるポイントは、日本と微妙にズレている。FUSIONの「影絵」のパフォーマンスは、日本では大半の観客がステージにじっと見入っている。シカゴでは曲中に何度も歓声が上がり、メンバーが「イェー イェー」と両腕を突き上げるのに合わせて一緒に手を挙げる観客もいる。前方の女性客はリズムに乗りながら軽くヘッドバンギングしていた。

一方で、日本での「お約束」はほぼ通用しない。エレクトロ・ワールドで「ああ あああ oh yeh」と腕を振り上げている人が自分以外、周囲に誰もいなかったのは衝撃だった。ポリリズムの間奏で、「はい、はい」と頭上で懸命に手拍子を打っても、周りの観客は全然付き合ってくれない。

地元の来場客は前々からPerfumeが好きだった人がほとんどで、「よくわからないけど、ちょっと見てみよう」みたいなフリの客はほとんどいなかったようだ。グッズ売り場に開演前も終演後も長い長い列ができていたことがそれを物語る。とはいえ、よく知っていて反応がよかったのは最近の曲やメジャー曲が中心のようだった。

その意味で、セットリストにシークレットシークレットやMagic of Liveを入れたのは正解だったのか。チョコレイト・ディスコやワンルーム・ディスコのほうがよかったのではないか(チョコは2016年のシカゴ公演でやったけど)。昨年3月のReframeを再現したコーナー(過去のさまざまな楽曲と映像が細切れで流れ続ける)も、大方の観客は理解が追い付かなかったようにみえた。

終演後は観客がわりとあっさりと会場を出ていく。アジアとは違い、観客が皆でPerfumeの曲を歌ったりしないのね。

ところで、会場エントランスで男の人が連れ歩いていた白っぽい大きな犬は、銃器・薬物探知犬だったのだろうか?

 

(開演前のエントランスホール。右側がグッズ売り場)