たぶんメンバー3人よりファンのほうが思い入れの強い曲。特に古いファン(古くからのファンと人間として古いファンの両方)にその傾向が顕著なようだ。
 4月の金沢での対バンライブでセットリストに加えられた。イントロが流れて間もなく、あ~ちゃんが「宇多丸さんのリクエストです」と紹介すると、会場の古いファンたちは感動に打ち震えた。
 宇多丸さんや掟さんが危機を感じ取ったファーストアルバム=ベスト盤に唯一入った新曲。しかも1曲目。「手を伸ばしてももう届かない」何かに捧げられた曲。2006年11月に宇多丸さんがゲストとして呼ばれたラジオ番組で紹介した曲。
 金沢では、メンバーは楽しそうに、しかし特別の感慨があるふうでもなく、歌い踊っていた。3人は、少なくとも2008年時点では、かなわぬ恋の歌と捉えているようだ。そのほうが素直ではある。若いファンも、過去の歴史にはさほど屈託がないと聞く。
 それでも、古いファンたちはもはや、過剰な感傷を抱かずしてこの曲を聞くことはできない。中田氏が曲に封じ込めた思いは決して語られぬまま、歌い手を通して微妙に屈折しつつも、聞き手の心の中で乱反射し続けることだろう。