昨日読み終えた「11/22/63」は1963年11月22日のケネディ暗殺を防ごうと、現在(設定は2011年)から過去へと遡る男の話。ただし、主人公は1958年にしかタイムスリップできないので、過去に4年あまり滞在しなければならない。その過去で主人公は当時の音楽や食べ物、人間関係などをおおむね好ましく思いつつ過ごす(人種差別や男女差別はあるけれど)。
 このノスタルジー、そして時代設定は「三丁目の夕日」と同じだ。私は「3丁目の夕日」にまったく興味がないので内容もほとんど知らないのだが、映画第1作の舞台は1958年、第2作は59年で、第3作が64年(東京オリンピックの開催年)らしい。
 懐かしいと感じるためには、その事物や時代を自らの経験として知っているか、知らなくても自分のことのように近しく感じることができなければならない。江戸時代とか平安時代のことは、憧れの対象となり得ても、懐かしいことには通常なり得ない。どの時代までなら近しいと感じられるかは、人ごとに年齢などによって違うだろうが、おしなべて考えると50年くらい前、つまり1960年前後というのは時代設定としていい線なのだろう。
 ところで「11/22/63」には「the past harmonizes」というフレーズが繰り返し出てくる。同じ名前の別人が同じような出来事に遭う、といったことを指すようだが、噛み砕いていうと、あたかも互いに関連があるかのような一致。そういえば、私もこの本を読んでいる期間中、JFKの娘さんと同じライブ会場を訪れたり(去年のクリスマス)、ついこの前は「三丁目の夕日」に出演した堀北真希さんの舞台を見に行ったりしたのだった。