※リクエスト作品になります。




齋藤side



ゆいぽんが昨日、急にうちへ尋ねてきた。

理由を聞けば理佐が友香と浮気関係になっていて怒ったゆいぽんがそのまま家を出てきたと。

すごくショックだった。

理佐のこともゆいぽんのこともメンバーとして友達として大好きな人だから幸せで居て欲しいと思ってた。

でも、口にはしなかったけどゆいぽんの話を聞きつつ、どこかずっと何かがおかしいと思ってた。

だって理佐はスマホの待ち受けも、SNSのアイコンも、ゲームの中での名前だって昨日までずっとゆいぽんだったし、今日はまだ確認できてないけどそれはきっと今日も変わらない。

大体、遠征先のホテルで夜な夜な呼び出されたと思ったら最近の由依が可愛すぎる〜‼︎とかなんとか惚気を恥ずかしげもなく興奮気味で話すような人が軽々とそんな浮気するはずない。

2人が付き合い始めたのだって理佐からのアプローチがきっかけって言ってたし、理佐がそんな自分から好きになっておいて自分のタイミングで離れるような自己中心的な性格じゃないことも知ってる。

………何か、他から手が出されない限り狂うはずもない永久機関だった2人だから。

だから私は2人がただ理佐の浮気が原因で別れただなんて最初から信じてない___________。



ゆいぽんをうちへ泊めた翌日、私は躊躇うゆいぽんの手を引いて楽屋に入った。

正直、ちっちゃい子供じゃあるまいし、入りたくないと言うなら廊下に残しておいても良かったんだけど。理佐と友香と少しでも一緒に過ごす時間を多くしてあげたかった。

それは少しでも2人にゆいぽんへの弁明のチャンスが多い方がいいと私がお節介にも気を利かせたからと言うのもあるし、

本当はまだ理佐のことが大好きなんだろうけど勢い任せに行動したせいで今更素直に話したいなんて言えそうもないゆいぽんがひとり寂しい思いをしないようにって言うのもある。

結局私が望んでいるのは2人の関係性が元に戻ることだった。


理佐「っ、由依…!」
友香「ゆいぽん!」


扉を開けた途端真っ先に走ってきたのはやっぱりこの2人。
でも一躍人気者の張本人は私の背中に隠れてしまって、その様子を見た理佐と友香は傷心の顔を浮かべる。

それに対してまだまだ昨日の怒りが収まりきらないのか、私の服を両手で握っているゆいぽん。

空気は最悪だし、いつまでもこんなんじゃ埒が開かないから取り敢えず背中にぴったりくっつくゆいぽんを連れて荷物を置きに行くことにした。


齋藤「大丈夫だよ。」
由依「…うん。」
齋藤「これから色々な人に話聞いてみる。私だって怒ってない   わけじゃないからね。」


私は100%疑ってる訳じゃないけど、もし本当にあの2人が浮気関係なら、そのときは絶対2人のことを私が許さないから。私はゆいぽんの味方でいるからね。

そう言って一度頭を撫でる。
だってあまりにも怖がった顔するんだもの。

きっと怖いんだろう。浮気の真相を知りたいのと同時に、もし本当に浮気の話が真実ならきっとゆいぽんは大事な人たちに裏切られたショックで立ち直れないだろうから。


、、、本当、世話が焼けるんだからあんた達は。
、、、でも、きっと大丈夫だからね、ゆいぽん。


それから私は、ゆいぽんを取り敢えず1人置いて、近くにいた土生ちゃんの手を引き、理佐と友香に近づいた。


齋藤「理佐」
理佐「ぁ…ふーちゃん」


私の方を振り向いた理佐は今にも泣いてしまいそうなほどだった。そんな理佐を見て、昨日から感じていた違和感は私の確信に変わる。

うん、絶対理佐は浮気なんてしてない。絶対に。

立ち尽くしている理佐を左手で抱き寄せて理佐にだけ聞こえる声で話す。


齋藤「ゆいぽんなら私が責任持って面倒見てるから」
理佐「っ、うん、」
齋藤「取り敢えず何があったか話してくれる?」
理佐「うん、」


涙に溢れた理佐の顔を見ていられない。昨日、私の家を尋ねてきたゆいぽんの顔にそっくりだった。

大丈夫、また2人はきっと元に戻れる。戻してあげる。

トンと気持ちを込めて一度理佐の背中を叩いてから、私が理佐と話しているのと同時に、友香の方へ行っていた土生ちゃんにアイコンタクトをとって人のあまり来ない非常階段へと4人で向かった。




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齋藤「で、何があったの?」


友香と理佐、どちらにも尋ねたつもりだった。でも2人は「私たちにもわからない」と首を横に振るばかり。

理佐は昨日の出来事のショックで息も上手く吸えてなさそう。全く、本当に彼女ありきの人間なんだから。

代わりに友香が昨日理佐と電話を繋いだ時の内容を話してくれたけど、友香も理佐も一緒に繁華街に出かけた覚えもないし、ましてやキスなんてしたこともないらしい。

きっとこれは本当。キスという単語を出した途端顔を赤くして慌て出した友香の姿が物語ってた。


土生「なんかますますどこから始まった話かわかんなくなっち   ゃったね」
齋藤「うん…」
友香「そもそもなんでゆいぽんは私と理佐が浮気したって思っ   てるのかな、」
齋藤「写真見たらしいよ、2人がキスしてる」
理佐「あり得ない友香となんて」
友香「うん、あり得ないね…って、ちょっとそれ言い方酷くな   い?」


でも2人にそんな覚えがないってことは単なるフェイクってことなのかな。合成ってこと?何のために?


友香「でもなんで?」

土生「んー、ゆっかーと理佐につっついてほしいと思ってる人   がいた、とか?」

友香「えー?大前提、私はともかく理佐は彼女持ちなんだよ?
   それはありえない気がするけど…」

土生「じゃあ、その逆とか?」

齋藤「逆?」

土生「理佐とゆいぽんの2人が付き合ってるのをよく思ってない   人がいた、とか。」

齋藤「なんで、みんな応援してたじゃん?理佐とゆいぽんのこ   と」

土生「だから、みんながいるところでは応援してるフリをして   たんだよ。けど本当は2人がくっついてほしくなかった。   都合が悪かったとかで」

菅井「なにそれ、、、怖いこと言わないでよ」


土生ちゃんが両手の指を人に見立てて一生懸命説明してくれる。

全て想像に過ぎなくて証明できないけれど、なにか妙に辻褄が合ってて4人の間に沈黙が流れた。

…もし、本当にその話がそうだとしたら、友香と理佐の浮気を偽造した人、つまり写真を合成した人が、今回の犯人…、

ゆいぽんに写真見せた相手は、、


齋藤「ひかるちゃん……」
理佐「ひかるちゃん、?」
齋藤「うん、ゆいぽんが昨日写真見せられた相手…!確かひか   るちゃんって言ってた!」


4人で目を合わせる。きっと考えてることは同じ。
ひかるちゃんは、この一件について確実に何かを知ってる。

4人とも居ても立っても居られなくなって出てきた楽屋を確かな足取りで目指して歩いた。

理佐はきっと、感情任せの怒りから。でも、その後ろを続く私たち3人はきっと早く真実を知りたかったから。

なにかよくないことが起きる予感を感じてた。じわじわと背中に嫌な汗が湧き出てくるのを感じる。

ひかるちゃんが2人を別れさせた、そんなことないよね。私たちの勘違い、見切り発車に過ぎないよね。

早くそうだって証明してほしかった。「ごめんね、ひかるちゃんがそんなことするはずないよね」って謝る時間が早くきて欲しかった。

信じてるから、ひかるちゃんのこと。
だからお願い、違うって言って。

祈るような思いで楽屋の扉を開ける。
ひかるちゃんを探すとゆいぽんと並んで腰を下ろしてた。

よくみるとその右手と左手は繋がっていて、私たち4人が前に立つとゆいぽんがサッと手を引っ込めたのが見えた。


理佐「ひかるちゃん」


理佐が何か怒った時の低い声を出したのが聞こえたけど、私の気持ちはそこへ集中できなかった。

…ねぇゆいぽん、その今引っ込めた手は何。

ひかるちゃんはどうして理佐の前…ゆいぽんの彼女の前だと言うのにその手を隠そうとしなかったの。




to be continued…




お読みいただきありがとうございました🫧
今回のお話は物語の進展に重要な部分ではありますが、なんだか上手く書けなかった気がします。

無理矢理なところもあるかと思いますが力不足で申し訳ないです🙇

また、今日で私は書き手活動丸2年が経ちました👏
始めた時にはこんなに長く続かと思ってなかったですし、こんなに多くの方に読んでもらえると思ってなかったです

感謝しています

これからもよろしくお願いします、おっす。