※リクエスト作品になります。
玲side
朝の3時。控えめな目覚まし時計が鳴って慣れない時間に目を覚ます。これでも結構ギリギリに起きている方で、他のメンバーの中にはもっと早くから準備してる子もいるのかななんて。
そんなことを考えながら私の身体に巻きついてる腕と脚をそーっと解いてベッドから出る。この作業も、初めの頃は下手くそでよく起こしてしまったけどだいぶ慣れたもんだ。
由依「んぅ…zzz」
玲 「へへっ、可愛いなぁ」
早く準備しないとだし、起こしちゃダメだけど、思わず頭を撫でてしまう程の可愛さ。本当は一緒に連れていきたいくらいだ。
とかなんとか思う今日から、私たちは新しいシングル制作の遠征になる。
前までは同じグループにいたから2人で眠気覚ましつつ一緒に準備して行って来ますを言ってたけど。由依さんが長いアイドル期間を終えた今は私1人で家を出る。
…そろそろ本当に急がないと。
長時間でも耐えられるように、朝ご飯を作る。ついでに由依さんの分も。
その間にも、由依さん薄味の方が好きだよね、とか、由依さん苦手な玉ねぎは避けるだろうから少なめでいいか、とか。
こんだけ愛込めて作ってあげてるからたくさん食べてほしいなと思ったせいで多く作りすぎてしまうのはいつものこと。
玲 「いただきます」
かろうじて始まった朝のニュース番組の音量を5にして見ながら食べる。
…由依さんのいないご飯は、ちょっぴりつまらない。だから早く食べて、早く片付けちゃった。
その後は珍しく急足でメイクして髪の毛を整えて、朝使った物を持って行く荷物に詰めて、時間はないけど、由依さんの分の朝ごはんの支度を終わらせて。
なんとかギリギリ予定時刻に間に合わせ、靴履いて、あとはもう出るだけだと思いカバンに入れた鍵を探していると背中があったかくなった。
由依「玲…」
玲 「あ、由依さん。起きちゃいました?」
由依「うん、」
早起きが苦手な由依さんは、この時間に自分の用事以外で起きること凄く嫌なはずなのに。いつもこうやって私を送り出すためにギリギリ起きて来てくれるその行動がとても愛しい。
休みの日は昼過ぎに起きてくるくらいな由依さんにとっては、今はまだ眠たいんだろうな。背中におでこをつけてうりうりとしてくる姿が可愛すぎる。
由依「行っちゃやだぁ、、、」
玲 「私も本当は由依さん残して行きたくないですけど、お仕 事なので。ね?」
私が小さい子をあやすようにまだ眠りかけの由依さんに話しかけると、幼い口調で「おしごと、」と復唱する由依さん。
何も考えられてなさそうなその姿が可愛くて思わず後ろを振り向き頭を少し撫でた。
玲 「ご飯作っておいたので、自分であっためて食べてくださ いね。お風呂は掃除しておいたので、いつでもどうぞ」
由依「……ありがとう」
向かい合わせになるとさっきよりもぎゅーっとくっついてくる。いつも寝起きはひたすらベッドで甘えてくる由依さんだけど、今日はできなかったから、きっとこれはその代わり。
由依「気をつけてね、風邪引かないで、」
玲 「へへっ、わかりました。由依さんも体調には気をつけて ください」
由依「ん、、終わったら早く帰って来てね?」
私の方を覗いてきて潤んだ瞳で見つめてくる由依さん。その姿がやっぱり可愛すぎてぎゅーと、私からも抱きしめてしまう。
玲 「可愛いですね、由依さん。ふふっ」
由依「ん、玲の前だけ、へへへ」
照れたように甘えた笑い方は私に甘やかしてほしいときのサイン。だから私は、両手で由依さんの顔を包んで目を合わせる。
玲 「由依さん、私がいない間はちゃんと鍵閉めるんですよ。
こんなに可愛いんですから、隙あらば誰かが絶対襲いに 来ますので」
由依「もしそうなったら玲が助けてくれるから大丈夫」
確信しているような真っ直ぐな目で見つめてくる由依さん。自分の魔性さを知らない人と付き合うのは結構メンタルにくる。
玲 「…そう言うことじゃないんですけどね〜…笑」
由依「そうでしょっ?玲?」
玲 「んふふ、悔しいですけど否定できないですね」
そうでしょ?なんて、ルンルンで言ってくる由依さんの可愛さに、私はまだ耐性がつかない。胸いっぱいのキュンを由依さんに伝えたくて力一杯抱きしめた。
玲 「そろそろ行って来ます。いい子にお留守番しててくださ いね?」
由依「うん、いい子できる。大好き玲」
玲 「ふふ、偉いですね。私も大好きです、由依さん」
少し頭を撫でる。身体を離して、お互いぎこちなく唇を寄せ合う。
チュ…
玲 「へへへ…」
由依「チューしちゃったね、へへ」
お互い攻めない性格で、照れ屋なせいでなかなか前に進まないから、最近始めた、いってきますとお帰りなさいのキス。
まだまだ慣れなくて、気恥ずかしくてはにかみ合う。
でも『チュー』なんて幼稚な事言う由依さんが可愛すぎて、お仕事の活力になるから悪くない。
玲 「いってきます…!」
もうすっかり目も覚めた由依さんにそう言って玄関の扉を出た。
扉に背を向けて歩き出そうとしたその瞬間、締まりかけの扉がまた開いて私の大好きな人が私に飛び込んでくる。
チュ
玲 「っ…?!由依さん?」
由依「…おかわり。今回長いんでしょ?」
寂しそうな顔で小首を傾げる由依さんに、びっくりするけど仕方なくまた抱きしめた。
由依さん、寂しいのわかるし、嬉しいですけど、誰かに見られてたら大問題ですよ。私たち、一応芸能人なので。
でもそんな可愛ところが私は大好きです。
mv製作中、私は週刊誌に撮られてないことを願うばかりだった。
fin
お読みいただきありがとうございました。
だいぶ前に頂いたリクエストで、応えるのが遅くなってしまって申し訳ないです…🙇♂️
また、ずっと放置している『夜這い星』のお話に関しまして、ただ今本当に行き詰まっています。
絶対に書きたい!という強い意思はないのですが、続編リクエストくださる方も一定数いらっしゃるので
あの後2人がこういうふうに展開に展開してほしい!とか
こんな2人が見てみたい!とか
そういうのある方いらっしゃれば是非コメント等ください🙇♂️
おっす。