※リクエスト作品になります。
理佐side
その時は突然やってきた。
兄 : 天のお迎え頼んでもいい?
理佐 : あんまり外出る気分じゃないんだけど、
兄 : 最近ずっと家の中にいるんじゃない?少し気分転換して来 なよ
当時の私は、長く付き合っていた彼の浮気が分かって、別れた直後だった。
一緒にいた時間が長かったが故に心の傷は思ったよりも深いもので、何にもやる気が起きない日々を過ごしてた私。
そんな生活を心配してなのか、仲が悪いわけじゃないけど普段からそこまで連絡を入れてこない兄から突然連絡が来た。姪のお迎えを頼まれてほしいと。
正直“ こんな状態で可愛い姪に会いたく無い ”と思ったけど、私のあまりの落ち込み様に兄以外にも、周りが心配しているのがずっと伝わって来ていたから渋々受けることにした。
気が重いまま、数日来ていたパジャマから服に着替えて、スニーカーを履き、何日かぶりの太陽に相性の悪さを感じて「最悪…」なんて思ったけど、
天 「理佐ちゃーん!」
実際迎えに行ってみたら、姪の天ちゃんが走ってくる後ろには、ふんわりと笑いかけてくれる一言で現すなら大天使とも言えるような可愛い先生がいた。
そして、全力でこちらに突進してくる天ちゃんを抱き止めるのと同時に私はその先生から目が離せなくなってしまったんだ。
由依「ふふっ、そんなに走ったら危ないよ天ちゃん?」
天 「んーん!危なくないよ!理佐ちゃんがいるから!」
そう言って私の方を自然と見上げる天ちゃんにつられてその人も私の方を見る。
理佐「…どうも」
由依「おかえりなさい、初めましてですよね?」
理佐「ぁ、はい、」
由依「天ちゃんのクラスの担任してます、小林由依です」
ぺこりと軽く会釈をした時に香ったシャンプーのいい匂い。その少し大人な香りとは裏腹に、可愛らしく猫のキャラクターのエプロンをつけている姿。なにより、整った顔立ちとかわいらしい笑顔。
瞬時に私の胸は高鳴る。ついこの間まで付き合っていたアイツから告白されたときのものによく似ている。
恋、してしまったみたいだ。
由依「天ちゃんのお父さんからお話は伺ってます。代理で来て くれたんですよね?」
理佐「ぁ、はい」
由依「天ちゃん、今日も元気でしたよ^ ^」
天ちゃんの保育園での様子を話す時に見せたその笑顔は、きっと天ちゃんに向けての優しい微笑みだとわかっているけど時折話していた時に目があったせいで私に向けられているのかと錯覚してしまう。
相手は女性なのに。たった数分会っただけなのに、もうこんなにもあの人のことが好きだ、私。
近年ご無沙汰していたこんな衝撃に、ついぼーっとしていると、手を繋ぎ一緒に帰っていた天ちゃんに腕を揺さぶられる。
天 「りさちゃん、つかれてる?」
理佐「へっ…?…ぁ、ううん、元気だよ笑」
天 「じゃあ、おなかすいちゃった?」
理佐「え〜、それは天ちゃんでしょう?」
天 「イヒヒ、天おなかぺこぺこ!」
理佐「ふふ、ママの夜ご飯楽しみだね^ ^」
天 「うん!」
1日園で遊んできたはずなのに、スキップして帰り道を歩く天ちゃんが可愛い。
天ちゃんと兄の家に帰ってからは、兄の家で一緒にご飯を食べさせてもらう。兄や義姉と顔を合わせるのも実に1ヶ月ぶりくらいだった。
私の義姉はとても料理上手だから、いつもならその腕前に感動してばかりだけど、今日は少し忙しくてそうもいかない。
あの、天ちゃんの担任の先生のことが頭の中をぐるぐる巡って仕方ないんだ。
いくつなんだろう?
可愛かったな〜
彼氏持ち?
それだとちょっと勝率ないけど、笑
好き勝手に自問自答しては、最近は忘れかけていた日常の中のワクワクを感じていた。そんな時、耳に入ったこんな会話。
義姉「ねぇ、パパ?私、しばらく天のお迎え行けそうにないん だよね、」
兄 「あー、そっか。そろそろ繁忙期だったよね?」
義姉「うん。行ける時は頑張るけど、頼んでいい?」
兄 「わかったいいよ」
…ん?これは私の出番ではないか?だってお義姉ちゃんはお仕事忙しくて、いくら頑張るとしてもお兄ちゃんだって仕事終わらない日とか時々あるよね?
それでお迎えの時間が遅れたりしたら天ちゃんも寂しいだろうし、小林先生だって残業になって困っちゃうだろうし。
うん、やっぱりこれは私と小林先生の距離を縮めるチャンs…じゃなくて、私が頑張る場面だ、!
理佐「あのさ2人とも忙しいなら、これからは私が天ちゃんのお 迎え行くよ?」
義姉「えっ?いいの?」
兄 「大丈夫なのか?自分の仕事もあるだろう?」
理佐「うん、私基本は在宅ワークだし、出社するとしてもうち の会社フレックスタイム制だから」
あまりの好都合さに少し早口になってそういうと、どこか2人は安心した様な表情で「じゃあお願いしようかな」と。それを聞いて心の中の私はガッツポーズ。
よしっ!ありがとう!うちの会社!よくやった!うちの会社!
そうして、この日から“ 天ちゃんのお迎え ”という建前の、私の小林先生と仲良くなろう作戦が始まったのだった。
to be continued…
お読みいただきありがとうございました!
こちらは、Twitterの方でシチュエーションを募集させていただいたリクエストです!
送ってくださったシチュエーションは、全て書き手が求めていたものそのもので、「最高の読者たちだな」と声に出してしまうほど感動しました✨
大事に書かせていただきますので楽しみにしていてくれると嬉しいです😌
…たまには、お話の感想とかも些細なことで構わないので聞かせてくれると嬉しいです。なんて、ワガママですかね。
おっす