※リクエスト作品になります。



由依side



はぁ……。やっぱ無理だ…。

今日も目を覚ますのは月が輝かしい時間帯。今日は帰ってきてからスマホもやらなかったし、テレビも我慢してたんだけどなぁ。本当、どうしちゃったの私。

こうなってしまったのはつい数日前。原因もなく急に夜に眠れなくなってしまった。

最初の方こそ戸惑って、焦って沢山寝るために努力してたけど、いつしかそんな努力すら疲れてきて今自分が本当に寝たいと思ってるかどうかもわからなくなっちゃった。

疲弊した心は私のことを空っぽにしていく。

さぁ、いつも通り朝まで時間潰そうって重たい身体を頑張って起き上がらせると左手にきゅっと何か絡む感触。

まぁ、何かなんて一つしかないんだけど。


理佐「……zzz」
由依「理佐……。」


行かないでって言ってるみたいな理佐の頬を、ありったけの優しさを持った手で撫でる。

理佐に話せたらどんなに楽だろう。ポツリと、感情がなくなって広々とした心に浮かんできた言葉。だけどすぐに自分で押し殺してしまう。

ダメだよ、理佐も忙しい。私のために起きてもらうなんて申し訳ないし、そもそも私が寝るために理佐が起きるなんて矛盾、絶対にどうかしてる。

__________だから理佐に、言えない。

私は理佐が絡ませてくる指先を解いて1人、リビングへと逃げた。


由依「はぁ……。」


リビングのソファーに座って出てくるのはため息しかなかった。こんな毎日に疲弊していること、なるべく気にしないように日中は気をつけているのにどうにも私は太陽がいないところでは無理みたい。

まるで先生がいる時にだけ優等生をする子供みたいに。

疲れちゃって涙も出てこない。テレビだってつけるだけブルーライトが強すぎて眩しいから今日はつけない。ただ秒針の音がなるリビングでぼーっとする。

そうして何分が経ったかな。頭に感じたじんわりと暖かいもので、時間が止まったような世界が再び時を刻み出す。


理佐「由依。」


私の頭に手を置いていたのは理佐だった。夜中だから当たり前だけど、眠そうな目をした理佐の顔を見たら急にブワッと目の周りが熱くなる。

やっと見つけてもらえた気がした。一緒にいても、どこか孤独を感じていたみたいだ、私。

理佐は何も言わずに私の脇に手を差し込んで、子供を抱き上げるように私を膝に乗せた。それに何も考えることなくしがみつく。


理佐「……どうした。」
由依「んー…(泣)」


灯のない部屋で月光に照らされるその優しい顔を見たら何も言えなくなって、言葉が涙にかわってしまう私に“ よしよし、ちょっと疲れちゃったね ”って手を頭に添えてくれる理佐が改めて大好きだなって思った。

理佐にくっついていると安心する。このトクントクンって伝わってくるものが心地よくて、震えていた肩も落ち着いてくる。背中を撫でてくれる手も大好き。それは、私だけのものにしてしまいたいほど。

そんなものに包まれていると「やまない雨はない。」その言葉通り、私の涙も少し経てば自然と止まっていた。

そして、私が泣き止んだことを察した理佐がゆっくり目を合わせてきて、素直な心配そうな顔で私に聞く。


理佐「寝れなかったの、?」
由依「…ん、起こしたの、ごめんね、」
理佐「んふふ、大丈夫だよ。」


離れて30秒も経ってないのにまたぎゅうっと抱きしめられる。ちょっと力強かったけど、その余分すぎる理佐の力からたくさんの愛情をもらえるような気がして嬉しかった。

そして、私を抱きしめて少しそのままでいた理佐がちょっとだけ怒ったような声を私に向ける。


理佐「……由依ちゃん、今日だけじゃないでしょ。寝れない    の」
由依「…。」
理佐「何で頼ってくれないの…?嬉しくないよ、隠されても」


素直にまっすぐに私に伝えようって言葉にしてくれる理佐は平然と話そうとしているみたいだったけど、声には「悲しかったよ」って気持ちが見え隠れしていた。


由依「理佐……いつも優しいから、」
理佐「、、当たり前よ。由依のこと大事だもの。」
由依「っ……私、返せてないから、、、これ以上、理佐の優し   さ貰ったらダメだって思った。」


本音を伝えることは、思ったより勇気がいるみたいで、自分のことを話す時、胸がきゅうって苦しくなった。

そんな気持ちが手に出てたか、いつの間にか理佐の服を握りしめていた私の腕をサワサワと撫でられる。

すると理佐が不意に、意味の深そうなことを言い出す。


理佐「優しさ、とかさ…返さなきゃいけないのかな。」

由依「えっ…?」

理佐「私、由依に返して欲しくて尽くしてるわけじゃないよ。
   由依が大事だから、私が一方的に守ってあげたいって
   思うから由依には沢山優しくだってするし、何でもして   あげようって気持ちになる。」


__________愛ってそう言うもんでしょ?

私に聞かせる理佐の声が、言葉が温かくて、涙がまた流れる。

わかんない、愛って何。私、知らない、見たことない。

得体の知れない愛が何かなんて馬鹿な私にはわからないけど、こうして理佐に抱きしめられていると、言葉では埋まらない心の隙間に入ってくるものが沢山あって。


理佐「…どんな由依でも私大好きだから。泣いてもいいよ、
   怒ってもいいよ、甘えてきてもいい。全部、受け止めて   あげる。」


…理佐の言葉あったかい、、、嬉しい。理佐のこと好き。ずっと一緒。1人寂しかった、理佐がいないと頑張れない。ありがとう、こんな私でも好きになってくれて。

……愛、してる。


理佐「……眠そうだね、由依。」
由依「ん、、だめ寝ない………」
理佐「ふふふ、もう瞼重たいんじゃない?由依」
由依「ちがう…もん、、、、」


だんだんと頭がぼーっとしてきて、理佐が言ってくること聞き取れない。

微睡初めてどれくらいしたのかなんてわからないほど自然な寝落ちだった。




理佐side




由依「ちがう…もん、、、」


コクッコクッと揺れる由依の頭は彼女が遅れて夢へと出発し始めたことを教えてくれる。

良かった、このまま眠れない日が続いちゃったらどうしようかと思った。

由依の首を私の胸元に寄せて背中をトントンとしてあげると瞬く間に寝落ちしてしまった由依。

本当、いつまでも手がかかって目が離せないなぁ、由依ちゃんは。って少しお姉さんぶってみる。

夜に起きて隣がいないと思ったら、リビングで膝抱えてるし。
話聞くと「眠れない」と泣き始めたと思ったら、今度はまだ寝たくないと目をゴシゴシして必死に起きようとするし。

そんな由依に翻弄されるこっちの身にもなってほしいけど、困っちゃうけど、そんな由依がいつもいつも可愛くてたまらない。

……私も由依も、きっと明日隈できてるだろうな。
メイクさんに怒られちゃう。

そこで私が「由依が起きてたから」って言い訳を言えばきっと由依は「違う!」って怒り始めるんだろう。

そんな私たちらしい明日を楽しみに私も眠りについた。




fin





お読みいただきありがとうございました!

なんか漂うこれではない感…、もっと上手に物語書けるようになりたいですね。

後、マシュマロの質問で貰ったのですが「櫻坂のツアー参加しますか?」ってもので、実は代々木講演1日目に参戦していました🤭

席は一階の南側だったのでもしかしたら、同じ空間にいた方がいらっしゃったかも知れません🌸


そして、フォロワー様1300名を超えました〜🎉✨
普通に考えて読んでくださるだけでもありがたくて光栄なことなのに、こんなにも多くの方々がわざわざフォローしてくださること本当に嬉しいです☺️

もっとたくさんの方に読んでいただけて、楽しいと思ってもらえるようなものを書けるようにこれからも頑張ります!


おっす。