※リクエスト作品になります。
 同性婚、同性でも子供を残すこと可能な世界線です。
 ご理解ください🙇‍♂️




由依side




由依「んぐっ…!」


日に日に足元が見えづらくなる原因のものを、蹴られて強制的に起こされてしまった。蹴ってきたのは私たちの可愛い怪獣さん。

無意識に手が向かうのはその蹴られたお腹で、眠い状態のまま私は保乃に背中を向ける。

すると今度蹴ってくるのは中の子で。「やめて!」と懸命に朝から足を動かすもんだから、お腹の中がとても騒がしく朝から私はサンドバッグ状態。


由依「んん〜……」


もう少しだけ寝かせておくれよ…。そんな、子供が小さいうちには到底叶いそうにない願いをこめて、しっくりくる体勢を模索し始める。

するとベッドのスプリングの動きが伝わってしまったか、向かい側で寝ていた理佐を起こしてしまった。


理佐「ん……どした、ゆい。、」
由依「ぁ…ごめんね。起こしちゃったね。」
理佐「うん〜、、、大丈夫。」


理佐が擦る寝ぼけ目の下には、薄らと隈ができていて彼女の疲れを物語る。


理佐「保乃に、蹴られたの…?」
由依「うん。結構思いっきり」
理佐「そっか、、平気?」
由依「うん、大丈夫だと思う。ありがとう」


同姓同士で血の繋がった子供が作れるようになったとは言えその技術はとても繊細で脆いもの。私たちはこのお腹の子で2人目だけど、やっぱり異性間の妊娠と比べると相当母体にも赤ちゃんにもリスクが大きい。

それを理佐も知っているから、ただでさえ過保護なのに最近は特に理佐が過保護になってしまった。きっと目の下の隈も、半分は私のせい。よく言えば理佐の優しさ。

そんなことを私が1人つらつらと頭の中で考えているうちに理佐はスマホで時計を確認して、大きなあくびをしながら布団の中で伸びをしている。


理佐「んー、、、ふぁ〜…、もう8時だ。」
由依「ちょっと寝過ぎちゃった?起こした方が良かった?」


昨日は理佐から頼まれなかったからてっきり朝は起こさなくていいもんだと思っていたけど、もしかしたら起こさなきゃいけなかったかな。お仕事遅刻しちゃったら申し訳ないな……。

眠たい目のまま理佐の方へ目を向ければ、フニャッと優しい笑顔で「んーん、今日は大丈夫なんだ♪」って返してくれる。


理佐「なんか、本当は今日も出勤予定だったんだけど、
   働きすぎとか労働法がなんとかで会社に行かせてもらえ   なくなっちゃって……」
由依「そっか。まぁ、最近忙しなさそうだったもんね」


真面目な理佐のことだからきっと知らず知らずのうちに働きすぎちゃったんだろうなって安易に想像つく。昔からそう言う人。休むことを知らないと言うか、元気が底なしと言うか。

そして理佐は続きを話す。


理佐「んまぁ、そんなことはどうでも良くてさ。」
由依「うん?」
理佐「その…久しぶりに3人で買い物行かないかな〜って、
   私車出すから。ぁ、もちろん由依の体調が良かったらの
   話なんだけど…!」
由依「っ!行きたい!」


私のことを気遣って、悪魔で提案のような形を提供してくれる理佐が私は本当に好き。加えて最近はまともに外出できていなかったし、嬉しいやって理佐に伝えればちょっと不安げな表情が安堵に変わる。


理佐「ふふ、わかった。身体は?無理してない?お腹張ってた   ら連れていけないよ?」
由依「んふふ、うん、わかってるよ。(笑)最近は気分もいい   し、体調も良好。お腹の子もよく動いてるし。」
理佐「ん、それでよし。……最近触ってあげられてなくて
   ごめんね〜」ナデナデ


布団の中を理佐の長い手が私の方へ渡ってくる。そのままシャツの下に手を入れられて素肌のまま触ってくる理佐。

もう、こう言うどさくさに紛れた変態チックなところ全然変わらないんだから。学生時代、頭を抱えた日々を思い出す。


由依「ちょっと、なに服の下に手入れてんのさ」
理佐「んふふ、バレた(笑)だって、こうしたら由依のことも   赤ちゃんのことも触れるじゃん。」

理佐「来週、定期検診だっけ?」
由依「うん。一緒にくる?」
理佐「うん行きたい。お休み取ってみる」


そんなことを少し理佐と話していると、真ん中で眠っていた怪獣が目を覚ましたみたい。ちっちゃな手で目をゴシゴシ擦ってストンとベッドの上に座る姿は本当可愛い。

「んーんー…」って後少しで泣きそうな様子を見てきっと私たちの話し声で起きちゃったんだなと察する。保乃は自分で起きるときはもっと機嫌いいもんね。

そんなグズグズの保乃に、おいでと腕を広げた。


由依「保乃。おはよう。」
保乃「まま……」
由依「うん、まだ眠いね。」ナデナデ


小さな頭を胸元に引き寄せて抱きしめてあげるけど、寝たままのぎゅーはあんまり好きじゃないみたい。すぐにまた起き上がって座ってしまった。


理佐「ふふ、保乃おいで。抱っこしよう。」
保乃「だっこ。」


そんな保乃と私を見た理佐はわざわざ自分がベッドに起き上がって、短い腕を広げた保乃を軽く抱えてくれる。

正直、起き上がるのがしんどくてこのまま保乃が泣いちゃっても仕方ないかと思っていた私だけど、こう言うところ見ると私、理佐と結婚してよかったと思う。


理佐「保乃今日あんよしに行こうか!」
保乃「っ!あんよ!」
理佐「ふふ、行く人ー?」
保乃「あーい」


あんよと言うのは保乃の言葉で、私たちで言うおでかけみたいなもの。歩けるようになってから保乃は外に行きたくなるとすぐ「あんよ、あんよ」と喋るから私たちがそう呼んでいるのだ。

そして今日も例外でなく、理佐の「行く人ー?」っていう質問に腕を伸ばす保乃。さっき潤んでいた目は瞬く間にキラキラになっている。

本当、私より保乃のご機嫌取るの上手なんだから。


理佐「よーし、じゃあ起きようね。……由依はどうする?
   まだ起きてこなくても大丈夫だけど。」
由依「んーん。私ももう起きるよ。先行ってて。」
理佐「りょーかい!」


保乃を抱えて理佐が寝室から出ていった。すると急に活発になるお腹の子。


由依「ふふ、どうした。さっき理佐に沢山構ってもらった
   でしょう?」


この子は保乃の時に比べてよく構って構ってと、動いてくることが多い。たまに変なところ蹴られたりして最近はちょっと悩みの種だけど。でもそんなところが憎めなくて可愛いかったりもする。

どんな子なんだろうなー。理佐に似てるのかな、私に似てるのかな。どっちでも私たちは大歓迎だからそのまま元気に育ってねって心の中で思いながら私も理佐たちの後を追った。




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ご飯を食べて支度をしてから来たちょっと大きいショッピングモール。平日だからもっとガラガラかと思っていたけど、全然人が多くてびっくりしちゃった。

元々人混みがそんな得意ではない私は疲れちゃうけど、久しぶりの買い物だし楽しまなきゃと気持ちを切り替える。

すると理佐が保乃を抱っこから下ろした途端、よちよちと走っていく保乃。私は咄嗟に呼び戻す。


由依「あっ、ちょっと保乃…!」
保乃「ちゃっちゃっ…!」


保乃が吸い寄せられていったのはおもちゃ屋さん。やると思ったこのくだり、いつもこれで買い物が捗らなくなっちゃう。保乃が生まれてからもう何となくわかってしまった。

そんな私たちを理佐はほのぼのと隣で見守っている。ちょっと笑ってないで保乃どうにかしてほしいんだけど。


由依「ほら保乃。今日はそれ買いに来たんじゃないのよ?」
保乃「かぅ…。」
由依「お家にいっぱいあるよ?」
保乃「め、かぅ。」


目の前のおもちゃに気を取られているうちのプリンセスはどうやら買う決意を勝手に決めたみたい。こうなったら保乃はしぶとい。

何ラリーか、私と保乃の「め!」「かぅう…」の言い合いを繰り広げて、さてどうしたものか。って私が腰に手を当てると後ろから理佐が保乃を呼んだ。


理佐「保乃〜。みて、風船あるよ!」
保乃「……これ、」
理佐「それはママがダメだってよ〜?(笑)」
保乃「め。」


ダメだ買え、と。顰めっ面を理佐にお見舞いする。普段なら風船なんて走って行くのに。よっぽどこのおもちゃが気に入ったみたい。

それから結局保乃は泣き出して、理佐に抱っこしてもらう始末。抱き上げられてからは疲れたのかスヤーとすぐに寝落ちした保乃。まぁ、お昼時も近かったし眠かったのかなと理佐の肩に乗る可愛い寝顔を見て思う。


由依「保乃寝ちゃった…(笑)」
理佐「ふふ、今日よく歩いたからね。グズグズだったし。」
由依「うん。今のうちに買い物済ませちゃおうか。」
理佐「そうだね。」


私がそう言ったら、保乃を抱えているのと反対の手をそっと絡めてくる理佐。珍しいなって私が理佐の方を見上げれば「久しぶりのデートだから」なんて言う理佐に私の胸は高まる。

本当、こう言うところ。人を虜にするプロなんだから。

誰にでもこんなことをする理佐の周りにはいつも人がいた学生時代を思い出す。その輪に入れなかった私が数年後には結婚して、大切を増やしてるなんて思いもしなかった。人生何があるかわからないなんてよく言ったものだと思う。


それからは完全に2人きりの時間。一緒に食器を見たり、ベビー用品を見に行ってみたり。動物の飾りを見つけたらお互いに「似てるね」って言い合ってみたり。

こう言う時の理佐は保乃の前とはまた違う顔をするから私は嬉しい。ちゃんとまだ女の子って見てもらえてる気がして。

他愛もないことだけど、保乃が生まれてきてくれて、この子がお腹に来てくれてからより一層こう言う日常に幸せを感じるようになった。

そんなことを考えてたらぼーっとしてたみたいで理佐が心配そうな顔で覗いてくる。


理佐「……大丈夫?なんか調子悪いくなってきた?」
由依「ぁ、ううん。大丈夫。ちょっと考え事。」
理佐「何を?」

由依「んー、別に。___________幸せだなって思っただけ。」


別に改まって言うようなことじゃないし、歩きながら言ったんだけど理佐は何故か立ち止まった。何かと思うとちょっとにやけ顔で言われる。


理佐「ねぇ、そんなこと言わないで。大好きになっちゃう」
由依「大好きでいてよ。ずっとずっと。」
理佐「今日の由依ちゃん可愛い。何、女の子出してんの?」


おっと、私は理佐のスイッチを入れてしまったみたい。興奮気味の理佐に詰め寄られるのを、上手く流す。

だけど久しぶりに見た、こんな溺愛してくれる姿。保乃と3人になってからは全然出してくれてなかった。恥ずかしいけど嬉しい。

何歳になっても、子供が何人できても、今日みたいな恋人同士に戻る日を作れたらいいな。なんて。今の理佐には火に油だろうけど。

……でも、こんな理佐が私は好き。愛してる。


理佐「由依、由依、可愛い〜。好きだよ。」
由依「んもう、あっついなちょっと離れて。ほら早く買い物
   しよう?」
理佐「ハートのお皿っ」
由依「絶対、嫌。」



fin




お読みいただきありがとうございました!

ゴールを決めないで書いていたせいで駄作の爆誕となってしまった気がしてますが、そのうち書き直すか修正入れると思うので今はこれで。🙇‍♂️

ここだけの話、即席ラーメンばりなスピードで書いているんですよ、(笑)

おっす。