理佐side
今日はクリスマスイブ。雪が降ってくれたら雪だるまでも、お庭に作ろうかと思ってたけど、生憎今年は降らなかったから雪だるまの置物で我慢。
みんなでお家でゆっくりできたらな〜なんて思っていたのに、多忙な由依くんは今日もお仕事みたいです。別にいいんだけどね、いいけど、許すけどさ…。少しだけ寂しさの残る中、お見送りの時間がやってきて。
「寒いの、いやー」なんて言ってリビングから出てきてくれない双子ちゃんと玲くんを残して私だけ玄関にお見送りに行くと「ごめんな、理佐。すぐ帰ってくるから。」なんて申し訳なさそうな顔で頭を撫でられて。
もう私そんな事される程子供じゃないってば、なんて思う私と
少しでも長く一緒にいたい、なんて考えてしまう私がいて。
モヤモヤが消えないまま夜を迎えた。
私が脱衣所でパジャマに着替えていると天ちゃんが珍しく足音を立てずに走ってくる。
天 「ママぁ〜」
理佐「んー?」
天 「今日天たちのところにもサンタさんくるかなぁ!
天たちいい子だったから来るよね?」
なるほどね。サンタさんの為に今善行を積んでる訳だ。目をキラキラさせてそう聞いてくるサンタのパジャマを着た天ちゃんは、ピュアで物凄く可愛い。去年に買って、まだだいぶ大きかったから今年まで取っておいたこのパジャマ。思いの外、丈が余らなくて来年はもう着れないかなぁと子供の成長を感じる。
理佐「んふふ、どうだろうねぇ」
天 「来るっ!だって天、お願いしたもん。」
理佐「え?何お願いしたのさ?」
天 「…とっぷしーくれっと」
口元に人差し指を当てて目を細めるその姿は、付き合ってた時の由依くんにそっくりで。遺伝かな、なんて。最近のマイブームであるスパイダーマンの見過ぎなのかもしれないけども、
パジャマに着替え終えた私は、人生4回目のサンタさんにキャッキャしている天ちゃんを抱えてリビングに戻った。
理佐「あれ?夏鈴ちゃん?みかんもう歯磨きしちゃったし、
食べないよ?」
リビングに入るや否や、こたつの上にあったみかんを両手に持っている夏鈴ちゃんが目に入る。こころなしか、目が生き生きとしていてみかん以外にもお菓子やらジュースやらをせっせこせっせこ集めている。
夏鈴「サンタ。サンタ食べるから。」
理佐「サンタさんにあげるの?」
夏鈴「そう。疲れるからサンタ。」
そう言って窓際に集めたものを並べていく。夏鈴ちゃんの好きなクッキーに、天ちゃんの好きな梅干しのおやつ。オレンジジュースに、麦茶に、ポケモンのフィギュア…。
全部自分の好きなものを総動員させている姿は夏鈴ちゃんの優しさが出ていて。
でもそこへ鋭い天ちゃんの指摘が入る。
天 「でも夏鈴、サンタさんはえんとつから入ってくるよ?」
夏鈴「えんとつ、ないよ」
天 「えんとつなかったらサンタさんどっから入るの…?」
夏鈴「……こないの?」
心底不安そうにおんなじ顔で見つめてくるから思わず写真を撮りたくなってしまう。だけどその衝動をなんとか抑えて不安の色が消えない天ちゃんサンタと雪だるまの夏鈴ちゃんに諭す。
理佐「んーん、大丈夫。サンタさん玄関からコンコンって
くるよ」
天 「っ!ちゃんとくる?!」
理佐「うん。早く寝た子のところからサンタさん来るって」
天 「っ!夏鈴!早く!寝るの!サンタさん!」
夏鈴「おもちゃっ…おもちゃぁ…♪」
私が「早く寝た子」なんて言った瞬間、夏鈴ちゃんの手をぎゅうぎゅう引っ張って寝室の方へ行かせようとする天ちゃん。それに対して、かなりな力で引っ張られてるはずだけどお構いなしにおもちゃが楽しみな夏鈴ちゃん。
おっきくなってもこんな関係は変わらないんだろうなぁと見てて可愛らしく思う。ちっちゃいうちのサンタさんが持ってるのは、プレゼントじゃなくて雪だるまさんの手だったみたい。
そんな2人についていくようにトナカイのパジャマを着た玲くんを抱き上げて私も寝室へと行った。
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あの後、寝室でもなかなかの盛り上がりようで寝る前なのにハイテンションな天ちゃんを筆頭に私を困らせる始末。トナカイの玲くんを囲むように、サンタさんと雪だるまさんがコテンと寝転びやっと寝てくれたと思ったら、由依くんからは「もう少しかかりそう」と連絡が入り私がため息をついたのが30分前。
ガチャッ…
由依「ただいまぁ…」
理佐「っ!おかえりっ…!」ギュッ
由依「おぉ…ふふ、ただいま理佐」
夜も更けてきて、家の中でも冷え込む時間となった頃、やっと玄関の方で物音が鳴り待ち望んでいた人が帰ってきた。なんだか嬉しくて勢い余って抱きついてしまった。なんだか私が寂しいと思ってたみたいで恥ずかしい。
由依「3人は?もう寝ちゃった?」
理佐「うん。玲くん挟んでおんなじポーズしてるの」
由依「なにそれ、早くみたいな(笑)」
由依side
子供達を起こさないように寝室の扉を開くと、理佐が言っていたように3人で丸まって寝ている姿があった。それぞれ枕元に手紙が置いてあって、手紙と引き換えにプレゼントをそーっと置いていく。
天 「んぁ、zzz」
由依「ビクッ!…ぇ、どうしたらいいのっ!」
理佐「こう、ごろんって…」
由依「無理だってばっ!」
俺がプレゼントを置いた瞬間俺の方へ寝返りを打ってくる天ちゃん。理佐が手で“ 向こうに転がせ ”と指示してくるけど、そんなの絶対起きちゃうってば…!
大ピンチであれやこれやと理佐と話しているうちに、自然と寝返りを打ってくれた天ちゃん。ほっと一安心も束の間、ベッドの下にあったコンセントを踏みつける。
由依「いっ…‼︎」
理佐「しーっ!!」
片足で細心の注意を払いながらケンケン。
くうぅ〜……痛すぎる…
そんなことをしていたら今度は足元の目覚ましを鳴らしてしまう。
ジリリリリリ…!
由依「ぁ!バカバカ…!」
理佐「ぁ、ちょっと…(笑)もう、何してんの」
片足の裏は痛いわ、片手には目覚まし時計、もう片方には2人からのお手紙を持ってなんとか退出…。はぁ、結構高カロリーな仕事だなぁ、
理佐「ちょっ…(笑)無理、お腹痛い…」
由依「笑い事じゃないってばっ!(笑)」
ドタバタの俺がとってもおかしかったのか理佐がお腹を抱えてケラケラと笑っている。もう、絶対来年は理佐の番なんだからなっ。心に誓ったけど、きっと来年も忘れて同じことの繰り返しだろう。
リビングに戻ってソファーで脱力すると窓際に目が入る。
クッキーに、梅干しのおやつに、なんだあれは、リザルドン?
由依「あれどうしたの?」
理佐「ぇ?あぁ、夏鈴ちゃんがね」
愛しい笑顔で話してくれる理佐が俺にとって最高のクリスマスプレゼントで。笑顔ほど似合うお化粧はないなぁと考えて。
そして、ドタバタだったサンタさんとただ笑っていただけの助手で窓際に並べられたお菓子を食べていると急に理佐がぎこちなく膝に乗ってくる。
由依「?、理佐?」
理佐「…理佐サンタからは、何も欲しくないですか?」
キュルルンな目で見つめてくる妻に、毎度の事ながらドキドキして。愛しさが限界にきてはその小さな唇に自分のを重ねて。
由依「チュ、チュ……」
理佐「んぁ、ハァ…」
由依「…俺、もう理佐サンタからは全部もらっちゃったから
欲しいもんないや」
理佐「全部…?例えば?」
由依「理佐の………初めて、とか、//」
理佐「っ!///おバカっ…」ペチンッ
ほっぺたを叩かれてから首にぎゅっとくっついてくる理佐サンタ。だけど、本当にもう理佐からはもらいすぎた。
キスも、最後の彼氏という座も、旦那という座も、ハジメテも、3人の可愛い宝物達だって。
全部全部、理佐が俺にくれたかけがえのない宝物。
なぁ、理佐。その照れた顔と、可愛い3人の姿が見れただけで最高のクリスマスプレゼントだよ。ありがとう。
…理佐が枕元のプレゼントに気がつくまで、後数時間。
喜んでくれるといいな。
p.s.
保育園で事前にサンタさんへの手紙を書いていたてんかりん。
雪の模様が書かれている紙にはびっしりと2人の欲求が書かれていて右下には保育園の先生が訳してくれた文章が。
「 さんたさんへ
カッコいい銃が欲しいです。夏鈴のもほしいです
天 」
『 さんたさんへ
カメラ。 あとパパの靴下。 れいは恐竜だって。
夏鈴 』
由依(なんで俺の靴下…?そんな臭うかな、)
fin
お読みいただきありがとうございました!
皆様メリークリスマス!🎄✨
更新できないと思っていましたが、「宝物シリーズ」でなんとかお祝いすることができました!☺️
殴り書きの文章ですみません。ささやかな、書き手からのクリスマスプレゼントです…✨
昨日から「宝物シリーズ」のリクエストを募集していますが、
皆様たくさんのリクエストありがとうございます😭本当に皆様のお力添えありきの活動なのでとっても助かっています。🙇♂️
まだまだリクエストの方は募集していますので、自由にコメントやマシュマロしてくれると嬉しいです。
今日も寒いですので、風邪引かずに良い1日をお過ごしください。メリークリスマス🎄🎁
おっす。