※リクエスト作品になります。理佐さん男性化させています。
苦手な方は自己防衛をお願いします🙇♂️
長いので時間の都合が合う時にでも…✨
理佐side
ある朝、小鳥の囀りで目が覚める。いつも通り寝癖を立てながら確認した時計は朝の7時を指していた。
会社の景気が良くなり奮発して買ったキングベッドはほとんどの場所を持て余して真ん中に俺たちを乗せている。隣をみると可愛い妻の寝顔があって、思わず手を添わせる。
子供の頃、というか学生の頃は結婚したらなんとなくイチャイチャや相手への愛しいが落ち着いていくのかと思っていた俺だけど、現に今、自分が既婚者となり気持ちは全然付き合ってた時と同じなことに気づいた。
理佐「…可愛い、(笑)」ボソッ
親指の腹で頬を撫でていると、布団の中から出てきた白くて細い手が、頬を撫でていた手を握る。
理佐「ふふふ、起きてたの?」
由依「起きてたんじゃなくて、起こされたの」
由依が嘘をついていることは、俺を見上げてくるパッチリ開いた目が教えてくれる。すると由依はよりギュッと抱きしめ直してきて可愛いことを言う。
由依「…大好きっ」
理佐「んふっ…」
朝からこんなことを言ってくれる日は大抵由依の気分がいい日。お気に入りのシュークリーム店かどっかが新作のスイーツでも出す日なのだろう。華奢な彼女の身体を抱きしめ返したところで俺はあることに気がつく。
理佐「…由依、それ俺のパジャマじゃない?」
由依「えー?あ、本当だ。もう、だから色違いにしようって
言ったのに…」
俺の腕の中から抜け出し、ベッドに座るとやっぱり由依の身体にしてはやや大きくて俺のものと間違えて着ていたのだと気づく。その姿を見て俺はいつになくウキウキしてくるのを感じる。
これ、いわゆる彼シャツというやつではないのか。由依は勝手に俺のパジャマを間違えて着て一晩寝ていたってこと?え、流石に可愛すぎるよ。そのパジャマ洗濯しないで返してくれないかな…
こんなこと口にしたら絶対怒られるから言わないけれど、やっぱり長いズボンの裾を引きずって歩く由依が可愛すぎる。
由依「…わっ?!ちょっとビックリさせないでよ」
理佐「…由依の彼シャツ、いいね。」
由依「…変態発言はせめて夜にしてよね。」
クローゼットに半分身体を埋もれさせて今日着る服を探している由依に後ろから抱きつくと、呆れられてしまう。
こんなにツンツンとした態度をしている由依だけど本当の気持ちは、服が決まったのに中々着替えない部分から見えている。
それから俺らは、靴下のもう片っ端を探したり中々直らない寝癖を2人作業で整えたり毎朝のドタバタな朝を過ごす。
由依「ベッドの裏は?」
理佐「ない。」
由依「クローゼットの中は?」
理佐「さっき見たって!」
由依「もう!こうなるから帰ってきてすぐ靴下放り投げるな
って言ってるでしょ?」
理佐「あー、時間ないのにぃ〜…」
由依「ふふトサカみたい」
理佐「…ぐふっ(笑)ねぇ笑わすな!こっちは真剣に…」
由依「ほらやってあげるからこっちきて。」
いくら早起きして余裕を持ったって最後はこんなだからもう俺らの中では「仕方ない」という結論に至っている。なんだかんだ言ってお互いきっとこのドタバタした朝が嫌いじゃなかったりするのだろう。
理佐「由依はやくー!遅れる!」
由依「先行ってていいってば」
理佐「やなの!由依と行くの!」
由依「…ピアス通らないよ、、、あぁもういいや会社でやろ」
いつもピアスだの、指輪だの様々なアクセサリーを身につける由依だけど俺から言わせてみればそんなの付けなくたって由依は十分綺麗だ。
いつものかかとの高い靴を由依が履いているうちに今日の予定を確認するのもいつものこと。
理佐「今日はいつも通り?」
由依「そうだね。ちょっと昼間取引先に出てくるけど。」
理佐「……後輩の子って男?」
由依「そうだよ。『俺以外の男と2人きりになるな』なんて
言わないでよね。私だって仕事なんだから」
理佐「うっ、はい…」
取引先にはだいたい車を使うし、由依は運転などは後輩にさせない主義だからきっと助手席に後輩の子が乗り由依はハンドルを握るのだろう。想像するだけで気分が悪くなりそうだ。
そして、今日はもう一つ一大イベントがある。
理佐「…今日、飲み会だよ、?」
由依「え?もうそんな時期だっけ?時間の流れは早いね〜」
理佐「うん。ってそうじゃなくてさ…!酔い潰れんなよ」
由依「わかってるよ。烏龍茶一択、でしょ?」
理佐「わかってるならよろしい。酔い潰れたらもれなく
俺らの関係バレるからな?」
由依「はいはい。ほら行くよ」
毎年恒例の季節ごとに開催する飲み会。社長になる前までは自由参加だったし極力参加は控えていたのだけど、流石に今は行かざるを得ない。社長がいない会社の飲み会なんてほぼなんの集まりだ?
由依だって付き合う前よりだいぶ位が上がって、部下の子たちに誘われるようになったから毎回口酸っぱく「何杯飲んでも烏龍茶」と言い聞かせているのだ。
理由の一つとして確かに社員に関係性をバラしたくないというのが1番だが、やっぱり旦那として妻の可愛い姿を他のゴリラに見せたくないしその姿を見て変な気を起こして欲しくない。
由依「…何考え事してんの。信号青だけど」
理佐「えっ!、ぁはい。すみません」
家を出たら悪魔で同じ会社に勤める社員として振る舞うこと。それが俺らの暗黙のルール。平然を装うために確かにお互いサッパリするのだけど、由依は家との差が大きく冷たくなりすぎる。そこがちょっと悲しいな。なんて思ったり。
_____こんなこと考えてるから怒られるのだけど。
ー飲み会ー
大事な商談が長引き、途中から参戦した俺。仲のいい社員たちがお酒を注いでくれたりしているのだけど、俺の気は全てが由依に向かっている。
…よかった。アルコールは飲んでないみたいだ。仲のいい女性社員たちとニコニコ談笑しているのをみて安心する。
「あれ?社長、結婚してるんですか?!」
理佐「えっ…!?」
「指輪なんていつもしてないじゃないですかぁ〜。
なんですか?どういう心境の変化が?」
半分頭がふわふわしてきてフラットになっている社員に言われて「しまった」と思う。俺はいつも結婚指輪を仕事中に外している。ないと思うけど商談相手が気になる可能性もなくはないし、やっぱり左手の薬指は目立つからだ。
だけど今日は外すのを忘れていた。女の人ならば飲み会での結婚指輪は役に立つものなのかもしれないがあいにく男だし、なんのメリットもないと気づく。
理佐「…あー、まぁね、」
「マジか!どんな人なんですか奥さん!美人さんですか?」
理佐「ちょ、ちょっと声が大きいよ…!」
向こうで座っていた由依にもこの社長の声が届いたのか、パッと目が合う。ここではどう受け答えるのが正解なのだろう。
完全に困ってしまった俺は素直に思ったことを話す。
理佐「…そうだね、可愛いし、いい人だよ。」
「ヒュー!いいっすね!幸せいっぱいじゃないっすか!」
理佐「あはは、ありがとう…。」
車で来ている俺はお酒が飲めないためテンションについていけない。こう言うところ俺のよくないところだなと思いつつも、由依に何かあった時のためにやっぱり飲まないほうがいいという気にもなる。
ご飯を食べて宴も酣、会場全体が高揚感に包まれる中一部人だかりになっているのを見つける。
理佐「おい、どうした?」
『あ、小林さん寝てしまって…』
由依が寝ただと?あとプロ意識の塊のような由依が何もなく居眠りなんてするわけもない。長机には大人数のコップが並び、ぱっと見どれが自分のかわからなくなってしまいそうだ。
それにしてもほとんどの社員がカラオケやら出し物やらで盛り上がっているのに由依1人に対してここまでみんなに心配をかけるわけにはいかない。いつもよく働いてくれるうちの貴重な人材たちには年に数回くらいパーっと楽しませてやりたい。
もう腹を括った俺は壁に寄りかかりすやすやとしている由依に声をかける。
理佐「小林?おーい?大丈夫か?」
由依「んぅ…zzz」
理佐「ハァ、ったく。」
由依「りしゃっ……へへっ。」
眠りながら急に笑ったと思ったらそんなことを口走る由依。
これが家ならば愛しい極まりないのだけど、今この状況で言うのはまずかった。
『えっ?!今由依さん社長の名前呼びましたよね?』
『嘘でしょ?!前から怪しいとは思ってたけど…』
『俺さっき社長の結婚指輪見たんだよ!多分小林さんのと
同じだと思う!』
ほらね、言わんこっちゃない。もうここまで来たら変に隠し通すのはよそうと思い由依を抱き上げる。
理佐「よいしょっ、ごめん皆。先に俺と小林帰るわ。
最後まで楽しめよ〜!」
冷やかしを食らう覚悟でいたけど、社員たちはなぜか微笑ましくしていて拍子抜けする。
机の上からサッと伝票を持ちレジに行く。
理佐「これでお願いします。おつり要らないので。」
由依を抱えるのに必死でおつりなんて貰っている暇はなかった。また目覚めて暴れ出す前になんとか家まで、無理ならせめて車までこのお嬢様をお運びしなければならない。
…もうちょっとお酒に耐性つけて欲しいところだけど、このほっぺが赤く染まった顔が嫌いなわけじゃないからなんとも言えない。
来週から会社大変だぞ、由依。
to be continued…
お読みいただきありがとうございました!
長くなってしまってごめんなさい🙇♂️
マシュマロでリクエスト頂いているものがあと7つあるかないかくらいまで来たので終わったらまた自己満小説に戻ります!
皆様のリクエストの質が高すぎて、書き手のオリジナルの物語がつまらなく見えてしまわないか不安で不安で…😅どうか最初の3つくらいは復帰作とでも思って大目に見てやってください。
まだまだマシュマロのリクエストは受け付けていますので、気が向いたらたまに構ってやってください🙇♂️
それでは、おっす。