日本の農業のこれから【RK通信No.29】
~RK通信 2007年 11月号より~
今回は、ちょっと長文ですが是非ともご一読下さい。
新自由主義
国家による福祉・公共サービスの縮小と大幅な規制緩和による
市場原理主義を重視する経済思想のこと。
今、資本主義といえば=新自由主義=グローバル資本主義
という理解でほぼ間違いはないと思います。
南米では、アメリカ主導による新自由主義の導入が
積極的に行われた結果
ストリートチルドレンの増加やアルゼンチンの財政破綻
が起こりました。
債務国の再建策として新自由主義的な経済政策を
推し進めていた国際通貨基金(IMF)は、
2005年にその理論的な誤りを認めました。
日本でも中曽根政権(電話・鉄道の民営化)から始まり、現在に至るまで
この主義思想で政策が決定されていっています。
主な批判としては、労働者への責任転嫁による格差社会の拡大や
「国民の生存権の保障」を「営利事業」に変えてしまうなどがあげられます。
こうした中、新自由主義を導入している日本の食糧(特に米)
についても輸入完全自由化というグローバル資本主義の波が
迫っています。アメリカ(食糧自給率125%)やカナダ(同161%)、
オーストラリア(同200%以上!)などが日本の市場開放を求めています。
日本のカロリー基準での食糧自給率は約40%。
世界173の国・地域の中で128番目の順位です。
当然、先進国ではダントツの最低率です。
そして、輸入が完全自由化されれば、
食糧自給率は14%にまで落ちる
と予測されています。
日本のこれからの農業について
皆さんはどういった御意見をお持ちでしょうか?
「食糧が安ければ助かるから、輸入は大歓迎!」
「選択の自由を侵害しないで」
「日本の文化が失われる」
「田んぼはダムの役割もあるし、環境がますます破壊される」
「輸出大国の日本で、市場の開放を拒めば、
輸出事業に支障がでるのでやむを得ない」
「米は日本人の主食。守らねばならない。」
「国際的競争力をつけるべき」・・・・・などなど
立場が違えば、意見も違うのが当たり前ですので、
いろいろな御意見がありますよね。
ある東京大学農学部の教授が、
「日本は主食の米を世界中から買えばよい」とか
「余ってるのは米ではなく、農家だ」
「日本は友達(の国)を増やせば大丈夫」
と、公な場(メディアや講演)で発言していました。
これには、さすがに「イヤイヤイヤ・・」って思いましたが(^▽^;)
昔、「米を食うとバカになる」って言ってたのも東大教授でした(-_-;)
キーワードはいくつもあると思うのですが、
米屋の視点からいくつか述べたいと思います。。
1 環境問題・・この先温暖化が進めば、各国で収穫量が
減少するのは目に見えてます。
そうなったときに、日本に輸出している国々は
本当に日本に輸出してくれるのでしょうか?
2 食糧自給率・・世界中で自ら進んで(しかたなくでも)
この数値を下げようとする国は日本くらいです。
3 主食?・・・・・・・ごはん食が減って、米が作付過剰です。
いくら減反しても米の消費量が増えなければ、
稲作農家は厳しいでしょう。
4 競争力・・・・・土地が少ない日本では、広大な土地を持つ
オーストラリアなどにはどんなにがんばっても
勝てません。
・・・・・・・・・・・・・などなど
理想は、世界中の食糧が日本に輸入されて、
いろいろな価格・種類から自由に選択できて、
かつ、食糧自給率70%以上ってとこでしょうか?
・・・・いやいやいや・・・・・・難しい問題ですね~^^;